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あなたの笑顔  わたしの涙 ≪ 1話 ≫
~第1章~ 「 あなたが好き 」

平野理央奈 18歳 星南女学園3年

あたしは今日いきなり恋をしてしまいました。しかも初恋です。

今まで、ハッキリ言ってモテない方じゃなかったけど

付き合いたいなって思う人がいなかったし

もし誰かと付き合うなら、大好きって思える人とって思ってたの。

そして今日、初めて出会った彼に一目惚れして

一気に心を持っていかれてしまった。

彼に一目ぼれしたのは、顔がかっこいいとかそんなんじゃなくて

(正直、顔もかっこいいんだけどね 笑)

あたしを助けてくれた時の彼の横顔がキリッとしてて、少し怖いくらいだったの。

なのに「大丈夫?」って聞いてきた彼の声が優しくて、

下を向いていたあたしが顔を上げると

もう一度「大丈夫?」って聞いて、ほんのちょっと微笑んだ彼。

そのギャップにあたしはやられてしまった・・・・。

でも、正直見た目マジメそうとは言えないタイプだったなぁ。

制服 北稜高校だったしなぁ・・・やっぱり不良だよね。

でも、いいの。だってやっと現れた人だもの!

あたしは自分の心が感じたもの信じるって決めたから

彼に会いに行ってみようと思ってるの。

でも、高校しか分かってないのに、会えるかなぁ・・・。



次の日の放課後 北稜高校正門前

お嬢様高校で有名な星南女学園の制服を着た、かわいい女の子が立っていた。

もちろん理央奈だ。

それだけで目立つと言うのに、その子は確実に誰かを待っている風だった。

高校から次々出てくる、ガラの悪い男子生徒の顔を一人一人

確認するように見ていると、3人の男子生徒が声をかけて来た。

「ねぇねぇ 誰待ってるの? こんなトコにいないで俺らと遊ぼうよ」

ちょっと怖いと思いながらも

「人を待っているので、ごめんなさい」と理央奈は答えた。

「待ってるって、誰を?」

「わかりません」

「は? 分からないって何?」

「名前知らないから・・・・」

「そんなヤツ待たなくていいって、俺らと遊んだら絶対楽しいって。

 ほら、行こうぜ!」

そう言って理央奈の手を掴んで男子生徒が引っ張ると

「止めてください あたし行きませんから」自分でもビックリするような

大きな声で理央奈がハッキリ断った。

すると男子生徒は逆ギレしたのか「ふざけんなよ」そう言って手を振り上げた。

その次の瞬間 その男子生徒の腕を掴んで止めたヤツがいた。3年の赤西だ!

「ねぇ 門の前で何やってんの? 女の子に手上げるって最低じゃん」

「赤西・・・・」

「くっそ ふざけんなよ 行くぞ!」

赤西が声をかけた事で、その男子生徒はあっさりどこかへ行ってしまった。

それだけで、赤西の学校での立場がうかがえる。

「ねぇ 君こんな所で何してんの?

 あんたみたいなお嬢さんが門の前に立ってたら目立つし

声かけられても、おかしくないでしょ」

そう尋ねる赤西に、理央奈は

「人を探してて・・・・でも名前が分からなくて

 だからココで待ってたら出てくるかな?って思って・・・・」

「名前が分からない人、探してるの?」黙って頷く理央奈

要領を掴めない赤西は質問を続けた。

「何でその人探してるの?」

「昨日、男の人に襲われそうになったの助けてくれたんです

 そのお礼ちゃんと言えなかったから、言いたくて・・・」

「ふ~ん そういう事ね」惚れちゃった訳だ・・・・赤西がそう思った次の瞬間

「仁 何やってんの? 早く行かないと聖待ってんだろ?」

そう言って亀梨と中丸が赤西に声をかけてきた。

「あっ!」理央奈が大きな声を出して亀梨の顔を見て、驚いている。

「もしかして亀なの?」赤西が亀梨を指差し尋ねる 黙って頷く理央奈

「あぁ 昨日の子だよね? 何でこんな所にいるの?」

「お前探してたんだって 名前が分からないから、ここで待ってたんだって」

「は?何で?」中丸が尋ねると

「あの・・・・だから」緊張してうまく言葉が出てこない理央奈を見て

赤西が助け舟を出した。

「お礼が言いたかったんだってさ 亀に! そうだよな」

「あの~昨日はありがとうございました。

 あたしちゃんとお礼も言わずに帰ってしまって

 わざわざ家まで送ってくれたのに・・・・ごめんなさい」

そう言って頭を下げる理央奈

「そんな事わざわざ言いに来たの? 別に気にしてねぇし・・・

 あんなことあったら動揺してるだろうしさ 気にしなくっていいのに」

亀梨がそう言うと

「あんな事って?」中丸が聞いてきた。

「なんか学校の帰りに、男に襲われそうになってたから助けた」

「お前 やらしいな」赤西が冷やかすと

「何でだよ お前だってそうするだろ!」亀梨は赤西を睨んでそう言った。

「まぁ こんな可愛い子が襲われてたら助けるよな」

ニヤニヤしながら亀梨の顔を見て赤西が言う。

ここまで来て彼に会えたはいいけど、これからどうしたらいいんだろ・・・・?

そう思っていたら「理央奈?」と星南女学園の女子生徒が話しかけてきた。

その女子生徒は理央奈に駆け寄り

「こんな所で何やってんの? もしかして朝言ってた人って北稜の生徒だったの?」

ビックリしたように聞いてきた。

正直、あまりお付き合いしたくない学校の部類ではある。

「あれ? マキちゃん?」

「えっ中丸くん?」

「だよね マキちゃんの友達なの?」

「まさか今朝言ってた男の子って中丸くん・・・・・・・じゃないね

 ケンカ強いわけないもんね」

「ちょっ、ちょっとマキちゃん それヒドくね?」

「間違ってないと思うけど」中丸を見て笑う理央奈の友達のマキ

「・・・・・・はい 間違ってませんね

 彼女が探してたのはこっち 俺の友達の亀」そう言って亀梨の肩を叩いた。

ちょっと頭を下げる亀梨。

「何? 知り合いなの?」驚いたように赤西が聞いてきて

「中学の同級生だよ」中丸がそう答えると

「ふ~ん・・・・ねぇ マキちゃんって言ったっけ

 この後時間ある? 俺ら仲間4人でカラオケ行くんだけど一緒にどう?」と

赤西はマキ達をカラオケに誘った。

マキは理央奈の顔を見て、少し考えた後で

「もちろんいいよ!じゃあ友達1人呼んでもいいかな?」と返事をした。

「マジ? やった~!!!」

「なんで中丸が喜ぶんだよ ば~か」赤西の冷たい目線が中丸に向く。

こいつ全然わかってねぇな・・・ホント鈍感だわ。

「じゃあ駅前のビックエコーに行ってるから、後からおいでよ。

 赤西って名前で入ってるから」

「わかった 絶対に行くから」マキがそう答えて、6人は一旦そこで別れた。



「理央奈の為だからお願い!」そう言って電話で話してるのはマキで

仲のいい涼子に一緒にカラオケに行くように頼んでいる所だ。

「だって北稜の生徒なんでしょ?大丈夫なの?」

「大丈夫だって、今会って話したけど全然怖そうじゃないし

 その内の一人は中学の同級生で、あいついい奴だから

 友達も絶対悪い奴じゃないって!ね 理央奈の恋がかかってるんだから

 協力してくれてもいいでしょ?理央奈の初恋だよ!」

「もう わかったよ 駅前のビックエコーね。今度おごってもらうからね」

「はいはい OKですよ 待ってるからね」

そう言って涼子との電話を切って

マキと理央奈はビックエコーの前で涼子が来るのを待った。

30分ほどして涼子が到着し、理央奈が涼子に謝った。

「ごめんね 急に無理言って呼び出して」

「まぁ今まで理央奈が無理言ったことないし、理央奈の惚れた男ってのも

 見てみたいし、気にしなくていいよ」涼子がそう言うと

「折角来たんだから楽しもうよ」そう言いながらマキが理央奈の手を引いて

赤西達の待つ部屋に向った。




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あなたの笑顔  わたしの涙 ≪ 2話 ≫
「遅くなってごめ~ん」マキがそう言ってドアを開けると

「マジで来た!」聖がビックリしたように大きい声で喜んだ。

「え?信じてもらえなかったの?」マキが問いかけると

「いや だって俺ら北稜と星南の生徒がカラオケって

 なんか信じられねぇじゃん?」聖がぶっちゃけて答えた。

「じゃあ とりあえず座って自己紹介しない?

 あたしは星南女学園3年の唐沢マキ 中丸くんと同じ三中出身です」

「あたしは大沢涼子 同じく3年 あたしは西中出身で~す」

「あたしは平野理央奈 高校から、こっちに引っ越してきました

 よろしくお願いします」

「俺 赤西仁 二中出身でこっちの、亀と聖も同じ中学」

「田中聖で~す いきなり女の子と一緒にカラオケって聞いて

 めっちゃテンション上がってま~す よろしく!」

「えっと 亀梨和也です よろしく」

「亀 それだけかよ! 俺は中丸雄一 ゆっちって呼んでね!」

「呼ばねぇよ」男3人が声を揃えて突っ込んだ。

「で、男女で分かれて座ってても面白くないので

 男女男女で座りませんかねぇ」と赤西が意見を言うと

「そうこなくっちゃね」とマキが賛成をした。

「じゃあ 理央奈ちゃんだっけ・・・は亀の隣ね」赤西が気を利かせてそう言うと

「赤西くん 気が利くね~!」と涼子が言った。

「あっ 仁でいいよ」

「じゃあ 仁くんね」涼子がそう言うと

「俺、聖~!」

「俺ゆっち!」聖と中丸が手をあげる

「だから言わねぇって」聖に頭を叩かれる中丸

「あははは わかったよ ゆっちでいいのね?

 亀梨くんは亀ちゃんでいいのかな?」

「あぁ いいよ」涼子の問いかけに、そう答える亀梨

「OK じゃあ遠慮なく行くね」とマキが言った。

最初、いやいやだった涼子もなんだかんだとテンション高いみたいだ!

理央奈はといえば、亀梨の事が気になって他のメンバーのことなど

全然目に入っていない様子で、それを見て赤西はちょっと笑った。

なんでこんなかわいい子が亀に惚れたんだ?

だってどう言ったって俺ら北稜だぜ?ありえねぇ・・・

「じゃんじゃん歌って盛り上がろうぜ!」聖の呼びかけに

盛り上がるメンバー達だったが、主役の理央奈はというと

亀梨の隣に座ったことで、ますます緊張して何も話せない状態だし

亀梨はと言うと、今の状況に少し戸惑っているようだった。

二人以外のメンバーは大盛り上がりで、歌いまくっていたのだが

理央奈が緊張して何もリアクションを起こさないことに、マキがイライラして

「ねぇ みんな彼女とかいるの?」そう聞いてきた。

「誰もいませ~ん いたら放課後こいつらとツルんでねぇ」

そう言ってふざけて見せる聖

「確かにな」赤西が頷く

「じゃあ そっちは?」中丸の問いかけに

「いたらココに来てない!」そう答えるマキ

「そりゃそうだ」涼子と理央奈が顔を見合わせて笑っている。

「でもさぁ こう言っちゃ悪いけど、星南の生徒ってもっと

 大人しいイメージだったよな。 もっと喋りにくいかと思ってた」

聖がそう言うと、涼子が

「あたしも北稜って聞いた時は、ちょっと怖いかもって思ったけど

 全然そんなことないのね? めっちゃ話しやすいじゃ~んみたいな」

そう言って聖にニコッと笑いかけた。

聖はちょっと照れたように舌を出しながら頭をかいた。

「理央奈 あんたも歌いなさいよ いつもの入れたからね」

マキにそう言われて焦る理央奈

「え? うそ勝手に入れないでよ~!」

「だってあんた借りてきた猫状態じゃない 歌でも歌ってリラックスしなさいよ

 はい 理央奈の番だよ」そう言って無理やりマイクを渡された。

何気なくマキが選んだ大好きな曲を、渋々歌い始める理央奈

何度となく歌っているその歌の、一小節が理央奈の心をドキンとさせ

理央奈の瞳に覚悟が映る

~ この思いが強いのなら 傷ついて構わない ♪ ~

思わず聖と談笑する亀梨を見てしまう理央奈

「やっぱり理央奈の歌っていいよね」マキがそう言うと

「理央奈ちゃん、めちゃ歌うまいね」赤西が感心したように言った。

「でも仁くんもうまかったよ」

「マジで? でも亀もうまいんだぜ ほら亀も歌えよ」

「あぁ 別にいいけど・・・」

「別にって何だよ あれ入れてやろう!あれだ!」

中丸が亀梨の歌を選曲して入れる。

理央奈の歌が終わり次の曲が流れ始める

「あぁ~ これ理央奈が大好きな曲じゃん」マキが理央奈に向かって言うと

理央奈は黙って頷いて、瞬きもせず亀梨を見つめ歌に聞き入っていたが

暫くして亀梨が歌っている最中に急に席を立って、慌てて部屋を出ていった。

それを不思議に思ったマキが後を追う

廊下の壁際に立ち、背中を向けている理央奈

「理央奈どうしたの? 亀ちゃんに失礼じゃないよ」マキがそう言って

理央奈の顔を覗き込むと、目が潤んで今にも涙がこぼれ落ちそうだった。

「理央奈?」

「ごめん 失礼なことしたのは分かってるんだけど、まさかあそこで

 泣くわけにいかないと思って・・・・・自分でも何で涙出るのかわかんないよ」

「理央奈 ・・・・・・・あんたホントに亀ちゃんの事好きなんだね」

「・・・・・・・・うん」小さく頷く理央奈

「わかった あたし全面的に協力するよ

 友達もいい人そうだし。がんばれ 理央奈!」

「・・・・・・・・うん 昨日初めて会った人なのに何でだろね

 自分でも、何でこんなに惹かれるのか分かんないよ」

理央奈の頬を流れる涙をハンカチで拭きながらマキは言った。

「時間とか関係ないんじゃない? 理央奈の心がそう感じたんなら

 素直になってもいいと思うよ ね!」黙って頷く理央奈 

それをトイレから帰ってきた赤西は、偶然聞いてしまった。

そのまま理央奈をトイレに連れて行こうとしたマキは

赤西が聞いていたことに気が付いたのだが、何も言わずそのまま通り過ぎた。

ふ~んマジなんだ・・・・赤西は通り過ぎた理央奈達を振り返って見ていた。



部屋に帰った赤西は、亀梨の隣に座って耳元でコソコソ何か話している。

「は? なんだよそれ!」何か亀梨が怒っているようにも見えたが

周りは歌で盛り上がっていて気付いていない様子だった。

暫くしてマキが一人で帰ってきたので

「あれ? マキ、理央奈は?」涼子がそう聞くと

「ちょっとね」どう言っていいのか困ってマキは言葉を濁した。

マキが赤西の顔を見て、「何も言わないでよ」そんな顔をしたのに

涼子が気が付き、そっとマキの隣に来て「どうしたの?」そう聞いてきた。

「後で話すわ ココじゃちょっとね」マキがそう言ったので

涼子は理央奈に何かあったことは察しが付いた。

数分後、何でもないような顔をして理央奈が戻ってきたが

ちょっと目が赤いことは、マキたちには分かってしまった。

亀梨の隣に座った理央奈は、平静を装ってはいたがやっぱりおかしい。

「ねぇ 気分悪いみたいだけど大丈夫?」亀梨が理央奈に話しかけると

理央奈はビックリしたように亀梨の方を向いたが

目が赤いことがバレてしまいそうで亀梨の顔をちゃんと見ることが出来なかった。

「うん大丈夫! 何でもないの。ごめんね 歌の途中で出て・・・」

「いや それは別にいいけど、ホント大丈夫?」

「うん ありがとう」

こんなんじゃダメだ!ちゃんとしなきゃ!

マキたちがくれたチャンスなんだから・・・

理央奈は何度も何度も、心の中でそう呟いた。



あなたの笑顔  わたしの涙 ≪ 3話 ≫
理央奈は顔を上げ、思い切って亀梨に話し掛けた。

「亀梨くん あのね・・・・」

「亀でいいよ!」

「えっ亀・・・・・・?」

「何? イヤなら別にいいけど・・・・」

「そうじゃなくて・・・・・・・・分かった」

「で、何?」

「えっ?」

「さっき何か言いかけてたから」

「あっ メアド聞いてもいいかな?」

「いいよ 別に」

「ホントにいいの?」嬉しそうに言う理央奈に亀梨は

「別にメアドぐらい普通だろ!」そう言った。

普通なんだ・・・・あたしには特別な事なんだけどな・・・・

「あっ亀たちメアド交換してる~! 俺も交換して!」中丸がかわいく

涼子にメアド交換をお願いすると、「もちOK!」そう言って

赤外線でメアドの交換を始め、他のメンバーも交換しだした。

「ねぇねぇ もうすぐココ終わる時間なんだけど夕飯でも食べて帰らない?」

赤西がそう言うと理央奈が慌てたように立ち上がった。

「あ~時間忘れてた!電話してないよ!」

「マジ? 早く家に電話しなよ。お母さん心配してるよ」

涼子が理央奈にそう言って電話するように促した。

「え?どういうこと? 門限とか厳しいの?」聖が聞く

「そうじゃないの・・・ちょっと電話する間、男子は黙っててね」

マキがお願いをして、理央奈はすぐに家に電話を入れた。

「もしもし ごめん。

 マキたちとカラオケしてたら盛り上がっちゃって電話するの忘れてた。

 マキたちと夕飯食べて帰るから心配しないで

 うん分かってる。ちゃんとタクシーで帰るから。じゃね」

そう言って理央奈が電話を切ると、

「どういうことなの?門限じゃないなら何?」

男4人が不思議そうな顔をして聞いてきた。

「理央奈言ってもいい?」マキがそう聞くと

「いいよ 昨日亀梨くんにも助けてもらったしね」理央奈がため息をついた。

「あのね 理央奈ずっとストーカーにあってて・・・・

 昨日、理央奈を襲ったのが、そのストーカーなの」マキが説明すると

「もしかして、襲われたのって昨日が初めてじゃなかったの?」

亀梨が驚いたように聞いてきた。

「ううん 襲われたのは昨日が初めてなんだけど、

 最近、後を付けられたりしてて、だからいつもはマキたちが送ってくれたり

 タクシーで帰ったりしてたんだけど、昨日はマキたちに用事があったし

 まだ明るかったから、大丈夫かなって思って一人で帰ったの。そしたら・・・」

「襲われたって事か・・・」赤西が呟く

「うん」

「じゃあ今日も送っていった方がいいね」聖がそう言うと

「俺が送るよ」亀梨がすぐ答えた。

一斉にみんなが亀梨の顔を見ると

「何だよ 昨日も送って行って家知ってるし・・・っていいよイヤなら別に」

亀梨は少し拗ねたように言い

「誰もイヤなんて言ってないじゃないのよ ちょっとビックリしただけよ

 じゃあお願いするね あたし達が送るよりも頼りになるもんね」

マキがそう言って頼んだ。

涼子がそっと理央奈に「良かったね」って言うと

理央奈は下を向いて、少しニヤケそうになる顔を一生懸命に隠した。

7人でファミレスに向う途中、理央奈はなぜか後ろが気になり何度も振り返って

「どうしたの? あいつがいるの?」そう亀梨に聞かれた。

「ちょっと過敏になってるだけだと思う」

そう答えて理央奈たちは足早にファミレスに向った。



ファミレスでもメンバーのテンションは下がる事なく、楽しそうに話している。

理央奈の緊張も少し解れてきたのか、時々笑みがこぼれるようになっていた。

「理央奈ちゃん やっと普通に話せるようになったね」聖が思わず言ってしまい

「ばか!」って赤西が頭を叩くと

「何言ってんのよ。まだ猫被ってるよね~!」マキが理央奈の顔を見て笑った。

「あたし、そんなに違う?」

「全然違う!大人しすぎだよ」マキと涼子が声を揃えて言うと

理央奈は照れ笑いをして、俯いた。

「まぁ 徐々にってことでいいんじゃないですかね?」赤西がそう言うと

「徐々にって事は、また遊ぼうって事?」マキが問いかける。

「もちろん!ダメ?」

「全然OK!ぜひって感じ」涼子がちょっと可愛い子ぶって答えた。

「理央奈ちゃんもいいの?」聖が心配そうに聞いてきので

理央奈は嬉しそうに「うん!」って答えて、思わずチラッと亀梨の顔を見た。

理央奈と目が合った亀梨は、目を逸らし小さく笑みをこぼしていた。



ファミレスを出る頃にはすでに8時を過ぎていて、理央奈以外のマキと涼子も

赤西たちに送ってもらうことになった。

もちろん理央奈を送るのは亀梨だ。

駅前でみんなと別れ、理央奈と亀梨は歩いて理央奈の家に向った。

「いつも誰かに送ってもらうって言ってたけど、彼女らが送るの?」

「うん。迷惑かけて申し訳ないなぁって思ってるんだけど

 今はそれしか方法がなくて・・・・

 マキや涼子が無理な時は、お父さんに迎えに来てもらったり

 タクシーで帰ったりしてるの。」

「大変だな。・・・・・・もし誰も送る人いない時は言えよ。

 俺がダメでも、赤西たちもいるから・・・・誰か送れる奴いるだろうから」

「ありがとう・・・・・・・・亀梨くんって優しいね」

「普通だろ」

「普通じゃないよ。昨日だって助けてくれたし・・・・

 チカンにあってても、見てみぬフリする人少なくないんだよ。」

「最低だな。チカンするヤツも、見てみぬフリするヤツも。」

「・・・・・・・うん」

「警察には行ったの?」

「何度も行ったよ。でも・・・ 結局、直接的な被害が出てないから・・・

 でも、昨日の被害届け出したから、ちょっとは動いてくれそうなの」

「そっか 早く捕まるといいな」亀梨の言葉に頷く理央奈

するとその時、亀梨は何か視線を感じたような気がして、後ろを振り向いたのだが

後ろには人影もなく、薄暗い路地が続いているだけだった。

俺の気のせいか・・・・?

「どうしたの?」

「いや、なんでもないよ」

彼女が気にしたらいけないから、言わない方がいいよな

少しして理央奈の家に着き、亀梨が「じゃあ」と言って帰ろうとすると

「ねぇ また会いに行ってもいいかな?」って理央奈は勇気を出して聞いてみた。

「って言うか、メアド交換したんだからメールすればいいだろ」

「メールしてもいいの?」

「何の為に交換したんだよ」クスッと笑う亀梨

「ありがとう・・・・・・」

「何でお礼なんだよ お前面白いな」

「そうかな・・・・」恥かしそうに俯く理央奈

「じゃあ またな」

「送ってくれてありがとう おやすみなさい」

亀梨にお礼を言って理央奈は家の門を入っていき

亀梨はそれを見届けてから、駅の方へ歩きだした。




あなたの笑顔  わたしの涙  ≪ 4話 ≫
玄関を入ると母親が心配そうに、リビングから出てきて

「大丈夫だったの?」そう聞いてきた。

「うん 大丈夫だよ。今日は男の子に送ってもらったし・・・

 あっ昨日助けてくれた男の子に送ってもらったの」

「今日も送ってもらったの?」

「今日ね 彼の学校にお礼を言いに行ったの。

 そしたら彼のお友達とマキが知り合いでね、みんなでカラオケ行ったの」

「そう、でも遅くなると心配だわ」

「ごめんね 心配ばかりかけて・・・・」

「もう少し早く帰ってくるようにしてね」

「ごめんなさい」母親に謝りながらも心では

だって楽しかったし亀梨くんともっと話ししたかったんだもん・・・そう呟いていた。

理央奈は自分の部屋に入り、制服を着たままベットの上に転がった。

思い切って彼に、亀梨くんに会いに行ってよかった。

まさか、メアド交換できるなんて思ってもみなかったなぁ

あっメールしといた方がいいかな?

それとも、うざいかな?

あ~どうしたらいいんだろ・・・・

でもメールして良いって言ってくれたし、もう一度お礼言いたい!

「今日は送ってくれて、ありがとう 気をつけて帰ってね 

おやすみなさい   理央奈」

たったそれだけのメールを打つのに、何度も書き換えて

震える指で送信ボタンを押した。

あ~ぁ 送っちゃったよ・・・・・ 携帯を握り締め呟く理央奈

すると数分後、亀梨から返事が返ってきた。

「またな おやすみ」たったそれだけのメールなのに

理央奈にとっては、特別なメールになった。

夜寝るまでに、その亀梨からのメールを何度にやけながら見たことだろう。

帰り際「じゃあ またな」って言った彼のやさしい声が、耳に残って離れない。

結局、理央奈は携帯電話を握り締めたまま眠ってしまった。




一方、赤西に送ってもらうことになったマキは、赤西にあることをお願いした。

そう偶然聞いてしまった理央奈の思いを亀梨に言わないようにして欲しいと・・・

「もう理央奈の気持ち分かってると思うけど、絶対に亀ちゃんには言わないでね」

「言わないけど、分かるだろ!どう見ても亀のこと意識してんじゃん」

「亀ちゃんが気付くのはいいの。それはそれで・・・・

 でも他の人から聞くのは違う気がするの。もし言うなら理央奈の口から

 言わないとダメなんだよ 絶対に」

「ねぇ 理央奈ちゃんってホントに彼氏いないの?」

「彼氏どころか、今まで付き合った人がいないんだよ。

 正真正銘 亀ちゃんが理央奈の初恋なの だから大事にしてあげたいの」

「マジで?あんな可愛いのに彼氏いなかったんだ・・・・」

「正直モテるよ。今までに申し込まれた数なんてわからないくらい。

条件だけでみれば、文句ないって人もいたし・・・・

でもすっごい好き!って思う人じゃなきゃイヤなんだって」

「それが亀なんだ」

「うん そうみたい」

「わかった 俺からは何も言わない・・・・・あっ」

「何?まさかもう何か言ったの?」驚いてマキは赤西の顔を見た。

「いや さっきカラオケで『もうちょっと優しくするとか、話しかけるとかしろ』って」

「ばか!人に言われて優しくされても嬉しくないよ」

「それは大丈夫! 亀は人に言われたからって優しくするタイプじゃないから」

「じゃあ 何で言ったのよ」

「・・・・・・・・・・何となく?」小首をかしげてかわいく赤西は答えたが

マキは赤西の答えに呆れてため息が出た。

ホント大丈夫かなぁ・・・・



それからと言うもの、放課後駅前で待ち合わせて7人で遊ぶことが多くなった。

遊ぶと言ってもお金のない学生だから

いつもカラオケやゲームセンターに行けるわけではない。

大抵は街中をブラブラしたり

ファーストフードの店で何時間も話していたりするだけなのだが

それでも理央奈にとっては亀梨と同じ時間を過ごせる大切な時間だ。

そして帰るときは必ず亀梨が家まで送ってくれる。

いつものように皆と駅前で別れ、理央奈の家に向い歩き出す二人。

「そういえばさぁ・・・・・」亀梨が話し始めると理央奈は亀梨の顔を見た。

「お前ってずっと『亀梨くん』って呼ぶな なんで?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「いや 別に呼び難いんなら『亀梨くん』でもいいけど」

「一緒じゃイヤなの」理央奈がポツリと呟いた。

「えっ何が?」

「マキや涼子と同じ呼び方したくないの・・・・・それだけ」

亀梨は恥かしそうに下を向いて、そう呟く理央奈がかわいいと思った。

「変なの・・・呼び方なんてどうでもよくね?」

「そんなことないよ」理央奈が顔を上げて、はっきりとした声で言うと

亀梨はフッと笑って理央奈の顔を見た後、また前を向いて歩き出した。

すると理央奈は最初からずっと思っていたが、言えなかった言葉を口にした。

「あのね・・・・・・・・・」

「ん?」理央奈の方を向く亀梨

「ホントは『和也くん』って呼びたいなって思ってたの」

理央奈はまた俯いて話している。

「いいよ」

思いがけない亀梨の返事に理央奈は顔を上げて、亀梨の顔を見た。

「ホントにいいの?」

「いいよ でも、あいつらの前で呼ばれると冷やかされそうだな」

「わかった じゃあ皆の前では呼ばないね」

理央奈は嬉しくてニヤける顔を亀梨に見られるのが恥かしくて

また下を向いて歩いた。

二人で他愛もない話しをしながら歩いていると、また誰かの視線を感じて

亀梨は立ち止まって振り向いた。

その場所は、いつも亀梨が視線を感じて立ち止まってしまう路地。

なんでいつもこの場所で誰かの視線を感じるんだろう?

何か気味悪りぃ場所だな・・・

理央奈を送っていく度に感じる気持ちの悪い視線

でも亀梨が一人帰る時には、同じ場所を通っても何も感じない

それが意味するものが何なのか、この時の亀梨にはまだ分かっていなかった。

理央奈の家に着き、いつものようにさよならをする。

「じゃあ またな」

「送ってくれてありがとう・・・・・・・・・・和也くん」

理央奈は自分で「和也くん」って呼びたいと言ったくせに

いざ呼んでみると恥かしさで耳まで真っ赤になってしまい

亀梨の顔を見ることも出来なかった。

そんな理央奈の表情を見て

亀梨まで照れくさくなってしまいフフッと下を向いて笑った。

そしてまた、「じゃあな」そう言って駅の方へ歩き出した。

理央奈は亀梨の後姿を見ながら、自分の中の押さえられない気持ちを感じて

苦しくて切なくてでも愛おしくて、何度も小さくため息をついた。



あなたの笑顔  わたしの涙 ≪ 5話 ≫
それから3日後、マキの携帯に

「今日 放課後ゲーセン行くんだけど、どう?」と、赤西からメールが入り

「理央奈 仁くんたちからゲーセン行かないかってメール来たけど

 もちろん行くよね?」理央奈にそう聞いてきた。

「うん あっ今日進路指導で放課後呼ばれてるんだった・・・・」

「じゃあ 待ってるから、その後行こうよ それでいいよね? 涼子」

「いいよ 別に急ぐわけじゃないし・・・」涼子もそれを了解した。

「でも・・・・じゃあ先に行っててよ。後から行くから」

マキ達に悪い気がして理央奈はそう答えた。

「でも、あいつがいたらヤバいじゃん やっぱり一緒に行こう」

「じゃあさ 終わったら電話するから、途中まで迎えに来てよ

 それならいいでしょ?」

「そんなにあたし達に気を使わなくていいんだよ?」マキがそう言うと

「あんた達に気を使ってるんじゃなくて、亀梨くんたちに使ってるの!」

理央奈はちょっと意地悪く答えたが、マキ達にはそれが理央奈なりの

気の使い方だと分かっていたから「OK! じゃあちゃんと電話してね」

そう言って理央奈だけ後から合流することで納得をした。

放課後 マキ達は理央奈の進路指導が終わる予定の5時頃に

迎えに来る約束をして赤西達と待ち合わせている駅前に向った。

マキ達が駅前に到着すると、すでに赤西達は待っていて

「あれ 理央奈ちゃんは?」と聖がすぐに聞いてきた。

「今日進路指導があるから、後で合流するって」涼子が答えると

「大丈夫なのかよ?」亀梨が心配そうに言った。

「5時頃に終わるって言うから迎えに行くよ」マキがそう答えると

「いろいろ大変だな」赤西がポツリと呟いた。

「あたし達より理央奈の方が大変だよ 自由に動けないなんて・・・」

「いつになったら、あいつ捕まるんだろうね」涼子が苛立ちを抑えられずに

思わず強い口調で言ってしまった。

「まぁ とりあえずゲーセンに行こうぜ!」中丸が空気を変えようと

明るい声でみんなを誘い、6人でゲーセンに向いて歩き出した時

マキの携帯が鳴り、発信者名を見てマキは慌てて電話に出た。

「理央奈 どうしたの?」

「進路指導の先生が急用で明日に変更になった」

「マジで? じゃあすぐに迎えに行くから待っててよ」

「あたしも今そっちに向いて歩いてるよ 途中で会えるよ」

「何言ってんのよ あいついたらどうするの? 学校で待ってなよ」

「さっき確認したけど、いなさそうだったよ」

「あんた バカじゃないの!」

そう言いながらマキは学校の方に向いて走り出した。

「理央奈 迎えに行ってくるから先に行ってて」

赤西達にマキがそう言いかけた時

マキの携帯電話から理央奈の声が聞こえた

「マキ~!!!」

思わずマキは立ち止まり「理央奈 どうしたの? 理央奈?」

大きな声で理央奈に問いかけ、驚いた赤西達が駆け寄ってきた。

「あいつが後ろにいる! マキどうしよう!」理央奈の声が震えている。

「だから言ったのに とにかく走って!あたしもすぐに行くから

 携帯は切ったらダメだからね いい?」

「分かった」そう言った所で、理央奈は一気に走り出した。

理央奈は後ろを振り返る事なく

真っ直ぐにマキ達がいるであろう駅前に向かって精一杯走った。

マキ達も理央奈の元に急いだ。6人で・・・・

理央奈の目に前から走ってくる亀梨が見えたその瞬間

理央奈の腕を掴む男がいた。

そう理央奈に付きまとっているストーカーだ。

理央奈がビックリして声も出せず

その場に立ち尽くしているのが先頭を走っていた亀梨には見え

「理央奈~!」思わず大きな声でそう叫んだ。

ストーカーの男は亀梨の声に驚き、理央奈の腕を掴んでいた手を離し逃げていき

理央奈はその場に座り込み、亀梨は理央奈の顔を覗き込んで息を切らしながら

「大丈夫か?」そう聞いた。

理央奈は声が出ないまま、コクコクと何度も頷いて見せ、亀梨の腕を掴み

寄りかかるようにして、何度も何度も大きく息を吐いた。

その頃には他の5人もその場に辿り着き、理央奈に声を掛けた。

「理央奈 大丈夫?」

「ケガない?」

マキと涼子に問いかけられ、理央奈は頷き小さい声で「ごめんね」と答えた。

「なんで理央奈ちゃんが謝るんだよ くっそ~!」

赤西が舌打ちをして、悔しそうに言うと

中丸が思い出したように、大きい声を出して言った。

「あ~! 今さっき亀、理央奈ちゃんの事「理央奈」って呼び捨てにした!」

「あ~!!!!ホントだ。呼び捨てにしてた!」聖も付いて言い

「何 お前ら二人の時は呼び捨てにしてんの?」

赤西がニヤニヤしながら亀梨の顔を見た。

「してねぇよ」亀梨がポツリと言うと

「初めて名前呼ばれた」理央奈もポツリと答えた。

「そう言えば亀ちゃん、あたしや涼子のことは名前で呼ぶけど

 理央奈のことは『ねぇ』とか『ちょっと』って言うよね?なんで?」

マキも亀梨の顔をじっと見る。

「ふ~ん!!!!」全員が亀梨の顔をニヤニヤしながら見ると

「別に意味なんてねぇよ」怒ったように答えながら

亀梨は理央奈の腕を持ちながら立ち上がり

一人先に歩き出した。

そして、他のメンバーも一緒に駅に向いて歩き出す

「さすがに今日は帰った方がいいよね」マキがそう呟くと全員が頷き、

また週末にでも会おうってことで話が決まると

いつも迷惑をかけてしまう事が申し訳なくて理央奈はまた

「みんな ごめんね」って謝った。

「だから理央奈ちゃんが謝るのは違うだろ」赤西がそう言うと

涼子が「誰も迷惑だとか思ってないから、気にしないの」って

理央奈の背中に手を回して言った。

だけど理央奈の表情が暗く沈んだままなのは、言うまでもない。

駅について別れるとき、

理央奈がまた「今日はホントごめんね」って謝ろうとしたら

聖が「謝るのはなしな」そう言って理央奈の言葉を遮った。

理央奈はどう答えていいのか分からず、言葉を詰まらせ下を向いた。

そして小さな声で「みんな ありがとう」って呟いて潤んだ瞳で微笑んだ。

「じゃあ 帰ろうか」そう言って亀梨が先に理央奈の家の方に向いて歩き出すと

理央奈はみんなに笑って手を振りながら、亀梨の後をついて歩き出した。

「なぁ あの二人ってどうなってんの?」赤西がマキたちに聞いてきた。

「あたし達も知らないんだよね

 理央奈に聞いても、ただ送ってもらってるだけみたいだし」

「あの亀がね・・・・・」聖が呟くと

「あの亀ってどういうこと?」

涼子に聞かれて、聖がヤベって顔をして赤西に叩かれ

「ねぇ どういう事?」

マキが少し強い口調で聞いてくると、渋々赤西が答えだす。

「正直、亀モテるんだよな。

 今までも言い寄って来た女多いしそれなりに遊んでるし。

その亀が送っていくだけって不思議だな・・・・みたいな」

「あいつ面倒くさい女とか嫌いだから

 毎回当たり前みたいに送っていくことも不思議だよな」

中丸も不思議そうな顔をして答える。

「それって理央奈は特別ってことじゃないの?」涼子が聞くと

「好きなのかはわかんねぇけど

 今までの女の扱いと違うのは確かだよな」聖も呟いた。

「もう暫く様子見るしかないってことか」

そう言って赤西が改札口の方に体を返して歩き出した。

聖も中丸も何も言わなくても理央奈の気持ちには気付いているようだ。



理央奈を送っていく途中、亀梨がいつも嫌な視線を感じる路地に差しかかる。

しかし今日は嫌な視線を感じることもなく、ホッとするというよりも

嫌な胸騒ぎを感じ亀梨は何度も後ろを振り返りながら、理央奈の家に向った。

そして何事もなく理央奈の家に着くと、やっと少しホッと出来た。

「和也くん 今日はホントにごめんね。

あたしが軽はずみな行動とったから、みんなに迷惑かけてごめんね」

「お前さぁ 謝りすぎだろ 迷惑だって思ってたら送らねぇよ

 だからもう謝るのやめろよな」

「わかった。・・・・・・送ってくれてありがとね」

「あぁ じゃあまたな」そう言って駅に向いて歩き出しながら、亀梨は思っていた。

あの路地を通りかかった時の胸騒ぎはなんだったんだろう

まだ5時過ぎだし、俺の考えすぎか・・・・



あなたの笑顔  わたしの涙  ≪ 6話 ≫
理央奈は亀梨の後姿を見送った後、家の門を開けて庭に入っていった。

まだ5時過ぎか・・・お母さんまだ帰ってないかな?

そう思った次の瞬間

理央奈はいきなり腕を捕まれて力強く引っ張られ地面に押し倒された。

そう 理央奈をずっとストーカーしていた、あの男に!

理央奈の家の庭に忍び込み

ずっと息を殺して理央奈の帰りを待っていたのだ。

あまりの恐怖に声を出せない理央奈

理央奈の上に覆いかぶさり目を見開き男が呟いた。

「僕がいるのに、どうしてあんな不良と会うの?

 僕にヤキモチを妬かせたいの? それだけ僕を愛しているんだよね?

 君が愛してるのは僕だよね」

男のねっとりとした絡みつくような声が理央奈に亀梨を思い出させ

理央奈は力の限り叫んだ。「和也!!!!!」

男は驚いて理央奈の口を手で押さえつけ

理央奈の顔を力いっぱい平手打ちをした。

恐ろしさで抵抗さえも出来ない理央奈を男は睨みつけて

理央奈の首に手を掛けゆっくりと締め付ける。

理央奈は息苦しさでもがき苦しみ

自分の首に掛けられた男の手を引っかいて抵抗しながら

何度も何度も心の中で亀梨の名前を呼び

少しずつ意識が薄れて行くのを感じた。

そこへ「理央奈~!」そう叫びながら亀梨が門を飛び越えて入って来て

男に押さえつけられピクリとも動かない理央奈を見つけ

男を力の限りに殴りつけた。

「てめぇ 何やってるんだよ」

男を地面にうつぶせにして捕まえ、何度も理央奈の名前を呼ぶ亀梨

亀梨の声に反応しない理央奈

そして亀梨の声を聞いて一人の女性が門を入ってきた。

「理央奈?どうしたの理央奈?」

「救急車! 早く救急車呼んで!」

その女性は亀梨の言葉に反応して、すぐに119に電話をかけた。

亀梨の大きな声を聞きつけ近所の人が何人か出てきて

亀梨が押さえつけている男を代わり取り押さえてくれた。

そして理央奈を抱き起こして頬を叩き

何度も体をゆすりながら名前を呼ぶ亀梨

少しして理央奈が小さく咳をして意識を取り戻すと

ホッとして亀梨は思わず理央奈を抱きしめた。 

一瞬驚いて理央奈の動きが止まる。

そして一気に押し寄せてきた恐怖から逃れられた安堵感から

涙が溢れ出した理央奈は「和也くん・・・・」亀梨の名前を呟き

そっと彼の背中に腕を回して制服をギュッとつかんだ。

すると傍にいた女性が声をかけた「理央奈 大丈夫?」

「お母さん」理央奈の声に驚いて彼女から体を離し

「えっお母さん? あっすみません」気まずそうにする亀梨

「娘を守っていただいて、ありがとうございます

 ホントに、ホントにありがとう」

理央奈の母親は何度も頭を下げ

ホッとしてその場に座り込んでしまった。

暫くして近所の人が呼んだ警察が到着し

警察官がストーカーの男を逮捕し連行して行く途中

ストーカーは「また君に会いに来るよ」そう小さく呟いた。

理央奈の方を向いて微笑みながら・・・

その男の理央奈を見る目が、声が、理央奈の体にまとわり付く

理央奈は体が一瞬にして凍りつき、思わず亀梨の腕にしがみ付いた。

亀梨は黙って理央奈の肩を抱き、回した手にギュッと力を入れる。

よかった ホント無事でよかった・・・・



はっきりと意識を取り戻した理央奈は、救急車には乗らず

詳しい説明をする為に亀梨と一緒に警察に向うことにした。

理央奈の母親も一緒に・・・・

警察に向うタクシーの後部座席

亀梨と母親は理央奈を挟むようにして座っている。

亀梨はそっと理央奈の震える手を握ったまま、赤西に電話をかける。

「もしもし 仁?

 実は帰りに理央奈があいつに襲われて今から警察に行くんだ。

 俺マキちゃん達の番号知らないから連絡しといてくれねぇか?」

「理央奈ちゃん 大丈夫なのか?」

「あぁ 今、会話できる状態じゃないけど、とりあえずは大丈夫」

「わかった 他のみんなには俺から連絡しとくよ」

「頼むな」亀梨はそう言って電話を切った。

理央奈が小さな声で「ごめんね」ってまた呟くと

「もう謝るなって言っただろ お前は何も悪くねぇだろ」そう言って

理央奈の手をギュッと握り直す亀梨

亀梨の手から流れ込んだ暖かい気持ちが

理央奈の心の中の不安や恐怖を和らげてくれる。

理央奈の母親は、何も言わずただ娘を守ってくれた少年を見つめ考えていた。

見た目は不良としか思えない彼が、娘を守ってくれたことは紛れもない事実。

そして娘が彼に好意を寄せてるであろうことも

時々彼の名前が娘の口から出るようになったころから気付いていた。

北稜の生徒だし、出来ればお付き合いして欲しくないって思ってたけど

理央奈のことを大事に思ってくれてるみたいだし

悪い子じゃないのかもしれないわね。

そんなことを思いながら理央奈の母親は車の外の流れる景色を眺めていた。



夜9時過ぎ 警察で今までの経緯や、今日の出来事を詳しく聞かれ

正直亀梨も理央奈も疲れはてていた。

「もうさ 明日にしてくんないかな?

 こいつ精神的にも疲れてるんだし、明日また来るからさぁ」

亀梨は理央奈の顔色が悪いことが気になり刑事にそう頼んだ。

亀梨がそう頼んだことと、女性警察官に促されたことで

理央奈と亀梨はまた明日話しを聞くということで

帰してもらえることになった。

警察署の廊下に繋がるドアを開けると

ソファーに理央奈の母親が座っていた。

そしてマキ、涼子、赤西、聖に中丸までもが・・・・・

「理央奈」そう言ってマキと涼子が駆け寄ってきて、理央奈を抱きしめた。

「よかった ホント良かった」

理央奈の無事な姿を見てホッとしたマキと涼子

「心配かけてごめんね」って言う理央奈

「ホントビックリしたんだよ でも、亀ちゃんに送ってもらってよかった」

「タクシーで帰ってたら、危なかったよね」

マキと涼子は顔を見合わせて言った。

「亀ちゃん 理央奈のこと守ってくれてホントにありがとう」

「そんな何度もいいよ

 さっきから理央奈やおふくろさんに何回も言われてるから

 もう言わなくていいよ」

亀梨はちょっと照れくさそうに、そう言って顔を横に向けた。

「もしかして、理央奈ちゃんにとって亀は白馬に乗った王子様?」

聖が冷やかすように言うと

「そりゃ そうでしょ? 守ってくれたんだもんな」

中丸がにやけて亀梨を見た。

すると「王子様って顔じゃないけどな」赤西がボソッと呟いた。

「まぁな」って聖と中丸が声をそろえて相槌をうつと「うるせぇよ」って

ちょっとふてくされたように亀梨が小さく笑い

緊張していた空気が一気に和らぎ、みんなでクスッと笑いあった。

「もう遅いから帰りましょ」理央奈の母親が声をかけ

みんなで出口に向って歩き出す。

すると前から一人の刑事が歩いてきて、亀梨たちに気付き声をかけてきた。

「お前たち、またケンカでもやらかしたのか? いい加減にしろよな」

「ちげぇよ ケンカじゃねぇし・・・・・」赤西が答える

「それならいいが、あんまり派手にケンカするのはやめろよ」

「わかってるよ」そう亀梨がめんどくさそうに言う

「もうお前たちには、会いたくないからな」そう言いながら刑事は

赤西の肩を叩き奥の部屋に消えていった。

「ねぇ 刑事さんと知り合いになるくらいケンカしてるの?」マキの問いかけに

「最近はあんましてねぇけど・・・・前はな」ってバツが悪そうに答える聖

「しようとしなくても、売られるんだよ 特に赤西と亀は・・・」中丸が付け足す

「なんで?」涼子が不思議そうに聞いた。

「ケンカが強いからだよ こいつらに勝ったら名前が有名になるからな」聖の答えに

「そんなことどうでもいいよ」って亀梨が話しを遮るように、先に歩き出した。

「あの刑事さん、口は悪かったけどいい人そうだね」ってマキが呟くと

「あぁ 他の刑事とかは俺らの話なんて、初めから聞こうともしなかったんだけど

 あの大下のおっさんだけは、俺らの話きいてくれたんだよな」

赤西が真っ暗な空を見上げながらちょっと顔に笑みを浮かべて呟き

他の3人も黙って頷いていた。


あなたの笑顔 わたしの涙 ≪7話≫
次の日の朝 いつもの時間に理央奈は部屋から出てきて「おはよう」って

母親にあいさつをした。

少し疲れた顔はしているが思ったよりは元気そうだ。

「今日ぐらい学校休んでもいいのよ」

「大丈夫!さっきマキから迎えに来てくれるって電話あったの

 心配ばっかりかけられないしね」

「そうね・・・・・・・こんな時に限ってお父さん出張なんてね」

「お母さん お父さんも仕事で大変なんだよ あたしなら大丈夫だから」

母親に心配かけまいとして、精一杯の笑顔で答える理央奈

理央奈の笑顔が痛々しくて、母親は娘の優しさに胸が痛んだ。

暫くしてマキと涼子が理央奈を迎えにやってきたのだが

理央奈はまだ準備が整っておらず、マキと涼子は理央奈の母親が入れた

カフェオレをダイニングテーブルに座って飲んでいた。

「おばさん 理央奈どうですか?」マキの問いかけに

「ちょっと疲れてはいるみたいだけど、大丈夫よ

 ちゃんと眠れたみたいだし・・・・・・・ありがとね」そう答える母親

「眠れたんだ よかった」涼子がホッとして呟く

「お待たせ~!じゃあ行こうか」って理央奈はいつもより明るい声で

マキと涼子に声をかけたが、不自然なほどに明るい里緒奈の声に

彼女が自分たちに気を使ってるのだと気付いたマキと涼子は

理央奈の事がいじらしくなった。

玄関を出て門までの短い距離 理央奈の足が止まる。

昨夜 男に襲われたその場所で・・・・・

マキと涼子は理央奈の背中に手を回し

「大丈夫だよ」って声をかけ門の扉を開けた。

すると門の扉の少し先に、制服を着た男の子が立っている。そう亀梨だ。

マキ達と出てきた理央奈を見て

亀梨は「しまった」って顔をして下を向いた。

「和也くん」理央奈が思わず名前を呼び、亀梨に駆け寄よると

「和也くん????」マキと涼子は顔を見合わせて驚いた。

「あっ」理央奈は口を手で押さえ舌を出して

亀梨に「ごめんなさい」って小さな声で謝り

亀梨はフッて笑って「大丈夫なの?」って理央奈に優しく声をかけた。

「うん 大丈夫だよ」理央奈の顔がいつもの笑顔に戻る。

「そう ・・・・じゃあ行くな」って亀梨が駅の方に向おうとした時

「ちょっとそれはないんじゃない?」ってマキが亀梨を引きとめた。

「え?」亀梨が振り向くと

「理央奈のこと心配で迎えに来たんでしょ?だったら学校まで送りなさいよ」

って涼子が理央奈の背中を押して、亀梨に送っていくように促した。

「だってマキも涼子も学校同じなんだし、

 わざわざ亀梨くんに送ってもらわなくても・・」

理央奈が亀梨に遠慮して、そう言うと

「ホントは送ってほしいくせに」ってマキに言われて

理央奈は「そんなことないけど」って

言いながら首をかしげ、恥かしそうに下を向いた。

「じゃあ、あたし達はお邪魔だから先に行くね」って

マキが涼子の手を引いて学校に向いて走り出した。

残された亀梨と理央奈は、二人で顔を見合わせ照れくさそうに笑いながら

「じゃあ行こうか」って亀梨の声で歩き出した。

「ちゃんと寝れた?」

「うん 大丈夫」

「そう」優しい表情で理央奈に微笑みかける亀梨

「和也くん・・・・」

「ごめんと、ありがとうは言うなよ もう言うなよ」

理央奈がお礼を言おうとしたその時、亀梨は理央奈の言葉を遮ってそう言った。

「なんで分かったの?」

「なんとなく?」そう言ってクスッと笑う亀梨

亀梨の優しい気持ちが、暖かい気遣いが理央奈には嬉しくて

やっぱり和也くんが好き そう思わずにはいられなかった。

「あっ さっきマキ達の前で『和也くん』って呼んじゃってゴメン」

「今更謝ってもしかたねぇだろ」亀梨は理央奈の頭を軽くポンと叩いて微笑んだ。

亀梨の穏やかな表情が優しさが

昨日の出来事を自分の中から消してくれるような

そんな気さえ理央奈にはしていた。

駅前を通り過ぎ「二人一緒に登校するの初めてだなぁ」

そんな風に理央奈が思っていると

後ろから「亀~!!!」って叫び声と共に赤西たち3人が走ってきて

「おはよう 和也くん!」ってニヤニヤしながら亀梨の顔を覗き込んだ。

「は?なんだよそれ」亀梨が戸惑いながら、赤西に問いかける

「さっきマキちゃんからメール来ました」赤西の言葉に

亀梨と理央奈は「うっわぁぁぁ」って表情で顔を見合わせた。

「ねぇ 水臭いんじゃな~い 和也く~ん」そう言って亀梨の肩を抱く聖

「うるせ~よ 水臭いってなんだよ」亀梨は怒ったように聖の手を振り払った。

「何って付き合ってんだろ?」赤西の問いかけに

「付き合ってねぇし・・・・」そっけなく答える亀梨

「そうなの?」って理央奈の方を向いて中丸が聞いてきて、黙って頷く理央奈

「はぁぁぁぁ?お前ら訳わかんねぇ」って聖が呆れたように言うと

「別にいいだろ」って亀梨は前を歩き出した。

理央奈は亀梨の隣を付いて歩き「ごめんね」って小さく呟いた。

「お前が謝らなくてもいいだろ」

「だってあたしがマキ達の前で『和也くん』って呼んだからだし・・・」

「気にしなくていいよ」そう言って亀梨は、理央奈に笑いかけた。

それを後ろで見ていた赤西たちは、明らかに亀梨の中で

理央奈の存在が大きくなってることに気付く

当の亀梨が自覚しているかは分からないが・・・・・・



その日の放課後 理央奈が警察に行く為に帰る準備をしていると

亀梨からメールが届いた

「門の前で待ってる 一緒に警察行くぞ」って・・・・

驚いた理央奈は、慌てて教室の窓から身を乗り出して正門を見て

亀梨の姿を探した。

「どうしたの 理央奈?」マキと涼子も一緒に覗き込むと

正門の前 北稜の制服を来た男子生徒が一人立っている。

その男子生徒は正門から次々出てくる星南の女子生徒に

ジロジロ見られている事を気にも留めていないようで

正門の傍の塀に寄りかかり、制服のポケットに手を突っ込んで立っている。

もちろん、それは亀梨だ。

亀梨が少し顔を上げたとき

教室の窓から手を大きく振る理央奈の姿が目に入った。

嬉しそうに笑顔で、飛び跳ねながら精一杯手を振る理央奈

亀梨は理央奈のその笑顔を見て、フッと笑って小さく手を上げた。

「亀ちゃん 迎えに来てくれたんだ? 理央奈早く行きなよ」

そう言って理央奈の背中を押す二人

理央奈は「うん また明日ね」って二人に笑顔で手を振り

亀梨の元に急いで走り出した。

理央奈のその笑顔を見てマキが「あたしも恋したいな」って呟くと

「あたしも恋したい」って涼子も小さく微笑みながら呟いた。

「中々出会いってないね」マキの言葉に

「あの3人はどうよ?」涼子が聞いてきた。

「あの3人って・・・・あの3人?」

「・・・・・・・・ないね」二人は声を合わせて答えた。

「いい奴らなんだけど、恋にはならないなぁ」

「だよねぇ 友達、仲間って感じが強すぎるよね やっぱり」

「どこかに出会いないかなぁ・・・」二人で放課後の教室の片角で

ため息混じりに理央奈の恋を羨ましく思っていた。

一方逸る気持ちを抑えられず

下駄箱に向う階段を駆け下りて行く理央奈の耳に

数人の女子生徒の会話が聞こえてきた。

「ねぇ なんか正門でかっこいい男の子が誰かを待ってるらしいよ」

「マジで?ちょっと見に行こうよ」

「え~!人の彼氏見ても仕方ないじゃん それにホントにかっこいいのかな?」

「だからそれを確かめに行くんじゃない」

理央奈はちょっと複雑な気持ちになりながら、亀梨の待つ正門に向う

かっこいいか確かめに和也くんを見に行くってなんかなぁ・・・・

ホントにかっこいいんだからね!なんかムカつくなぁ

理央奈はちょっと顔をしかめながら、その女子生徒達の横を通り過ぎた。

理央奈が靴を履き正門に向っていると、先ほどの女子生徒たちが

理央奈を追い越し正門の方に走って行き、正門から少し離れたところから

亀梨を覗くようにして見ているのが見えた。

その横をゆっくりと通り過ぎる理央奈 すると

「ちょっとマジでかっこいいじゃん」

「ちょっと不良っぽいけど、いいね」

「でも北稜だよ」

「まぁ学校は最悪だけど、顔は文句ないでしょ」そんな会話が聞こえてきた。

理央奈はその女子生徒達を軽く睨んで、わざと聞こえるような声で

「和也くん」って呼びながら、亀梨の元へ駆け寄った。

嬉しそうに自分の元に駆け寄ってくる理央奈を見て亀梨の顔もほころぶ

壁に寄りかかっていた体を起こし、理央奈にゆっくりと近づき「遅ぇよ」って

呟きながらも亀梨の表情は穏やかで

理央奈を優しく包み込むように見つめている。

そして二人でゆっくりと歩きだし、警察へと向った。

「お前さぁ 最初うちの学校の前で俺のこと待ってたじゃん よく出来たな」

「えっ なんで?」

「お前待ってる間 すげぇ恥かしかった」亀梨の言葉に驚き理央奈は

「そうなの? 全然気にしてないって顔してたよ」ってそう言った。

「あんなにジロジロ見られたら、恥かしくないわけねぇだろ」

「そっか・・・・あたし和也くん探すので精一杯で周り見てなかったからなぁ」

理央奈の言葉に呆れたようにフッと笑う亀梨

亀梨のその笑みを見て少し恥かしくなり

理央奈の顔にも小さな笑みがこぼれた。





あなたの笑顔 わたしの涙 ≪8話≫
警察署の刑事課 

部屋の隅のソファーに座り刑事に昨日の話しを聞かれている時

刑事が亀梨に問いかけてきた。

「君 彼女を送って行って別れた後で彼女の叫び声がしたから

門を飛び越えて入ったって言ってたよね?」

「あぁ そうだけど」

「彼女は君が角を曲がるのを見送った後

 玄関に向ったのに彼女の声が君には聞こえたの?」

「それは・・・・・なんか嫌な予感してたし

 それにまだ母親帰ってないかもって言ってたから

 もう少し一緒にいた方がいいんじゃないかって思って・・・・・引き返したから」

ちょっと語尾を弱めて言い難そうにする亀梨に刑事は質問を続けた

「嫌な予感って、どんなの?」

「はっきりした理由なんてねぇけど・・・・・・いつも嫌な視線を感じる路地があって

そこを通った時 昨日はその視線を感じなくて

それが余計に気味悪い感じがしたっていうか・・・・・」

「その路地ってどこにあるの?」

「こいつを送っていく時に必ず通る道だけど・・・」

「それってココら辺かな?」そう言って地図を出し、ある一箇所を指差す刑事

「あぁ そこの路地だよ でもなんで?」亀梨は不思議に思い刑事に聞いた。

「犯人の家がココなんだよ」

亀梨がいつも嫌な視線を感じていた路地のすぐ横にある家

ストーカーはその家の2階から

いつも家の前を通る理央奈を見ていたのだと聞かされ

あの気味の悪い視線の犯人があの男だったと気付いた。

そして昨日、その視線を感じなかった理由も・・・・

自分が感じた嫌な予感も、気味の悪い視線も間違いじゃなかった。

そう思うと理央奈を守ることが出来たのは自分だけだったんじゃないかって

そんな気さえしてくる。

亀梨は隣に座っている理央奈を見て

言葉では言い表せない愛しさのようなものを感じられずにはいられなかった。

そして理央奈はというと、自分が門の前で見送った後 

亀梨が引き返してきてくれていたからこそ

今自分が生きていられるんだと改めて思い

彼への感謝の気持ちと、彼の優しさに

心が震え溢れそうになる涙を抑えるのが精一杯で何も言うことが出来なかった。

自分の隣で瞳を潤ませ、一生懸命涙を堪え小さく震えている理央奈の手を

亀梨は黙って握り、そして理央奈も亀梨の手をそっと握り返した。

ひと通りの説明が終わり帰る準備をして、ソファーから立ち上がろうとした時

亀梨は思い出したように刑事に

「あのストーカーはどれくらい刑務所に入ることに?」そう聞いた。

「実は調べたら他にもストーカー行為や窃盗をしてた疑いがあってね

 詳しく調べてみないと分からないけど、少なくとも4~5年は出て来れないかな」

「そうですか・・・・ありがとうございます」そう言って理央奈の手を引いて帰る亀梨

すぐには刑務所から出て来れないと聞き、二人は正直ホッとした。

警察を出て家に向い歩き出しても

亀梨は理央奈と繋いだ手を離そうとはしなかったが

理央奈はそれをどう捉えて良いのか分からなかった。

同情?それとも少しはあたしのこと好きになってくれてる?

戸惑いを感じながらも、理央奈の心は暖かで柔らかな思いに包まれてた。

「明日の朝も迎えに行くよ」前を向いたまたそう呟く亀梨

「ううん マキ達が来てくれるし、それにもうあたしは大丈夫だから」

理央奈がそう言うと、亀梨は理央奈の方を向き優しく微笑み頷いた。



いつもと同じように亀梨に送ってもらう家までの道

薄暗くところどころにある街灯だけが、ふたりの歩く道を照らしている

何も話さず、手を繋いでゆっくりと歩く

ただそれだけで理央奈の心が甘く溶けていきそうな程、特別な帰り道

和也くんに気持ちちゃんと伝えたい

きっと言わなくても和也くんは気付いてるよね あたしの気持ち

でも、ちゃんと言わなきゃ前に進めない気がする

ずっとこのまま・・・進めない

でも何て言えばいいの?「好きです」・・・?

なんか違う気がするな

どう言えばあたしの気持ち伝わるんだろ 

あっでも断られたら、もう会えなくなるのかな?それはイヤだな

今のままなら、またこうして会ってもらえるんだし

このままがいいのかな?

ううん 違う、このまま友達のまま会ったって和也くんを好きになる気持ちは

止められないんだもん、それなら砕け散った方がいい・・・・・・かな?

和也くんの気持ちが知りたい どうして手を繋いで歩いてくれるの?

少しはあたしを好きでいてくれるの?

そんな言葉が理央奈の中で浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返すうち

二人は理央奈の家に到着した。

理央奈がいつものように門の前で「送ってくれてありがと」って亀梨に告げると

亀梨は「玄関まで送るよ」と小さく微笑み理央奈と一緒に門を入った。

そして男に襲われたその場所で

無意識の内に理央奈は亀梨の手をギュッと握った。

それに気付いた亀梨は黙って理央奈の手を引っ張り

自分の方に引き寄せ玄関に向う。

特別優しい言葉を言ってくれる訳ではないが

それでも亀梨の何気ない優しさに

理央奈はいつも助けられているのだと気付く。

やっぱり今の気持ちを伝えなきゃ・・・・・

玄関の前 「じゃあな」と亀梨が帰ろうとしたとき理央奈は亀梨を呼び止めた。

「あの・・・・・あのね・・・・・・・・・」うまく言葉が見つからない。

伝えたいことはたくさんあるのに、うまく言葉が出てこない自分がもどかしくて

理央奈は思い切った行動に出てしまった。

亀梨の胸元をそっと掴み引き寄せる 理央奈の踵が少し浮き上がり

亀梨の唇に自分の唇を重ね合わせ、目を閉じた。

理央奈の思いも寄らない行動に、驚き身動きの取れない亀梨

ほんの一瞬触れただけのかわいいキス 今の理央奈の精一杯の気持ち

理央奈は亀梨から少し体を離し、彼の顔を少し見上げるようにして

「 あたし和也くんが好きだよ 」って呟き

亀梨の言葉も聞かないまま、玄関の扉を開け家の中に駆け込んだ。

「 あいついきなり何なんだ・・・? 」小さい声で呟きながら

でもちょっと顔をほころばせた亀梨が立っている。

そしてフッと口元を緩ませたまま亀梨は門を開け

薄暗い静かな住宅街の路地をひとり駅に向って歩るき出した。

一方理央奈は、玄関のドアを閉め「おかえり」と声をかける母親に「ただいま」と

返しただけで顔も見せないまま自分の部屋に入った。

机の上にカバンを放り投げるようにして置き、ベットに体を投げ出し

自分がしてしまった行動を思い出して、恥かしくて枕に顔をうずめた。

なんであたしキスなんてしちゃったんだろ・・・・

いきなりあんな事して和也くん怒ってないかな?

てか、あたしファーストキス自分からするってどうなのよ

もう恥かしくて和也くんに会えないかも

理央奈はそんな事を思いながら、ふと自分の唇に手をあて

亀梨の暖かで柔らかい唇の感触を思い出し、胸の奥が熱くなると同時に

甘くて切ない亀梨への思いが溢れ出すのを感じていた。

和也くんにとってあたしって何? ただの友達なの?

和也くんの気持ち知りたい・・・・・でも・・・・・・・

理央奈は胸の苦しさを紛らわそうとするように、枕をギュッと抱きしめた。


あなたの笑顔 わたしの涙 ≪ 9話 ≫
次の日の朝 

マキと涼子が理央奈を家まで迎えに行き、3人で学校に向かう途中

駅前で「マキちゃん達 おはよ~!」と後ろから元気な聖の声が聞こえ

振り向くと赤西、中丸、亀梨も一緒だった。

いつもは会わないのに、どうして今日に限って会っちゃうかなぁ・・・

理央奈が夕べの事を思い出し、亀梨の顔を見ることも出来ず真っ赤な顔で

俯いたまま小さな声で「おはよう」って言うと

亀梨はいつも通りの声で「おはよう」と返してきた。

いつもなら亀梨を見て嬉しそうにするはずの理央奈が

下を向いたまま顔を上げないことに、メンバー全員が不自然さを感じたが

理央奈があまりにも恥ずかしそうにしているので

誰もそのことに触れることが出来ず、そのままみんなで学校に向かった。

みんなでふざけながら学校に向かっている途中

理央奈が一人遅れていることに気付き亀梨は

ゆっくりと理央奈の隣に行き、歩調を合わせて歩き出した。

亀梨は自分が隣に来て理央奈が焦っている事に気付き

ちょっとクスッと笑って理央奈に声をかけた。

「そんな気にするなよ 俺は怒ってもないし、気にしてもないから」

「・・・・・・・・・・」気にもしてないんだ・・・・

それってショックなんだけどな・・・・・

理央奈は黙って頷いたが、そのまま顔をあげることはなかった。

北稜の正門の前 「じゃあ またね」ってマキと涼子が手を振る後ろで

理央奈は先ほどとは違い、少し悲しそうな顔で小さく手を振った。

理央奈の少し寂しそうな顔を見て「俺 まずいこと言ったかな?」

亀梨が戸惑い首を傾げながら、校舎に向かい歩き出すと

「お前ら何かあったの?」って赤西が聞いてきて、聖と中丸も興味深々の表情で

亀梨の顔を覗き込んでいる。

「別に何もねぇよ」そう不機嫌そうに答える亀梨は

「理央奈ちゃんの、あの表情は何もないって顔じゃなかったけどな」

聖の言葉に反論することが出来ず黙って前を向いている。

「で、どうしたんだよ 理央奈ちゃん悲しそうに見えたけど・・・」

「わからねぇ 俺まずい事言ったのかな?」ポツリとつぶやく亀梨に

「だから説明しろっつってんだろ!」赤西が少しイラッとして聞いた。

「・・・・・・・・・・・・昨日 好きだって言われた」

「で、なんて答えたの」

「そのまま別れたから何も・・・・・ さっき恥ずかしそうにしてたから

 『俺は気にしてないよ』って言ったけど・・・」

「はぁぁ? お前バカじゃねぇの 

そんな事言ったら理央奈ちゃん傷つくに決まってんだろ」赤西の言葉に

「え? 何で!」驚いて赤西の顔を見る亀梨

「お前 ホントにわかってないのかよ」呆れたように亀梨に説明を始める赤西

「あのなぁ 告白した相手に『気にしてないから』って言われたら

 断られたって思うか、眼中にないって言われたと思うだろ!」

「えっ 別にそんなつもりで言ったんじゃ

 あいつが気まずそうにしてるから、言っただけで・・・・」

今になって自分が言った言葉が理央奈を傷つけたんだと気付いた亀梨は

眉間にシワを寄せて、舌打ちをした。

「これだから、女にモテるやつは・・・・」赤西は呆れた顔で亀梨を見ている。



一方理央奈の方はというと、北稜の正門前で亀梨たちと別れた後

マキと涼子が理央奈に「どうしたの?」って声をかけていた。

「亀ちゃんと何かあったんでしょ今日の理央奈、変だよ」って涼子の問いかけに

黙ったまま頷く理央奈

「もしかして、理央奈 亀ちゃんにしちゃったの?」そうマキが聞くと

理央奈は驚いたようにマキの顔を見て「なんで?」と聞いてきた。

「なんとなくそうかなぁ・・・・って」

「あたし、なんであんなとこしちゃったんだろ 初めてだったのにな・・・・」

「え? あんなことって?」マキと涼子が驚いて理央奈の顔を見た。

「ねぇ 告白したんじゃないの?」マキの言葉に

・・・・・・・あたし余計な事言っちゃったかな?

「いや・・・・・あの・・・」理央奈は言葉がしどろもどろになり

明らかに目も泳いでいるのがマキと涼子には分かった。

理央奈はマキと涼子から逃げるように慌てて学校に向かい走り始めたが

足の遅い理央奈はすぐに捕まえられ、マキと涼子に問いただされた。

「何をやったの?」

「だから・・・・・あの~・・・・・キス?」

「は? キス~!!!!」マキと涼子は驚いて大きな声で叫んでしまい

周りにいる星南の生徒にジロジロ見られて、理央奈は恥ずかしくて

「大きな声で言わないでよ」ってマキと涼子を怒った。

「だ・・・・だって理央奈 告白もしてないのにキスしたの?」

涼子は目が点になっている。

「告白は、その後にした」理央奈がバツが悪そうに呟くと

「あんたねぇ ファーストキス自分からって・・・」マキの顔が呆れている。

「それで亀ちゃんはなんて?」涼子が聞くと

「『気にしてない』って言われた」と呟く理央奈

「え?亀ちゃんに断られたってこと?」

マキがまた驚いて少し大きい声をだしてしまうと

「だから大きい声で言わないでよ」理央奈は怒ったように言って

学校に向いてまた歩き出した。

一人先を行く理央奈の後ろでマキ達は

「ねぇ 亀ちゃんの理央奈に対する態度 好意持ってるよね?

 断るのおかしくない?」

「絶対におかしい!

 だって付き合い始めるの時間の問題だって思ってたんだから」

「だよね・・・・ ねぇ涼子 放課後、理央奈のこと頼んでいい?

 あたし亀ちゃんとこ行って来る」

「分かった 理央奈はあたしが送っていくから大丈夫 頼むね」

そんな会話をしていた。

二人とも亀梨の答えにどうしても納得がいかないようだ。



お昼休み お弁当を食べようとしている理央奈たち3人

理央奈は時々小さなため息をついては、亀梨のことを思ってるみたいだ。

そこへマキの携帯電話に

「亀と理央奈ちゃんのことで話があるんだけど

 今日 二人で会える?」という赤西からのメールが届き

マキはすぐに「いいよ あたしも話がある 」と返信をした。

それを見た赤西は「やべぇ 怒りマーク入ってるよ

そりゃそうだよな どう考えたって亀が断る理由が見つからねぇよな

マジめんどくせ~ あのバカ亀が!」廊下の片隅でそう呟き

ため息をつきながらも、それでも二人にはうまくいって欲しいと思っていた。



放課後 マキは理央奈に「ちょっと中学の時の友達と会う」と言って

一人先に帰り赤西と待ち合わせをしている駅前のマックに向った。

マキがマックに付いた時には、すでに赤西は到着していて

店の一番奥の席に一人座りコーヒーを飲んでいた。

マキを見つけ手を上げる赤西

マキは赤西に近づき「ねぇ 昨日のこと亀ちゃんに聞いたの?」って

ちょっと怒った口調で問いかけてきて「ちょっとだけな」と赤西は答えた。

机にカバンを置き席に座るマキ

「ねぇ 亀ちゃんが理央奈をフッたらしいけど

 あたしどうしても納得いかないんだけど・・・

 どう見ても亀ちゃんも理央奈のこと気に入ってたじゃん」

「違うんだって 亀は断ったつもりないんだって」

「だって理央奈の告白を『気にしてない』って言ったんでしょ?

 それって流したってことでしょ?」

「亀は理央奈ちゃんがあんまりにも恥かしそうにしてたから

 思わず気にしてないからって言ったんだよ

 亀なりに気をつかったつもりだったんだよ」

「は?もっと言い方あるでしょ?」

「だから・・・・亀は今まで女に気を使ったことないんだって

 気を使わなくても女にモテるから・・・・

 だから女に気を使うってのがちょっと下手っていうか・・・・

 だから理央奈ちゃんに伝えてやってよ

 理央奈ちゃんを傷つけたこと気にしてたから」

「で、ホントのとこどうなの? 亀ちゃんの気持ちは?」

「亀 何も言わないからなぁ・・・でも

 俺は好きなんじゃないかなぁとは思ってるよ」

「理央奈があんな行動に出るって事は、よっぽどなんだと思うんだよね

 だから亀ちゃんにも、ちゃんと考えて欲しいんだよ 理央奈のこと」

「????あんな行動って?」不思議そうに首を傾げる赤西

「だから理央奈がキスしたことだよ」

「・・・・キス????」赤西の驚いた顔を見て、マキは焦って

「うそ!聞いてないの?」って大きな声を出してしまい

赤西に「声でかいよ」って言われて

周りをチラッと見ながら「ごめん」って謝った。

「でも理央奈ちゃんって初恋って言ってなかった?」

「そうだよ」

「まさか、ファーストキスとか?」

「そのまさか!」マキの言葉に赤西は絶句してしまい、目が点になってしまった。

マジかよ・・・・・




あなたの笑顔 わたしの涙 ≪10話≫
理央奈が涼子と二人 放課後の教室で他愛もない話をしていると

理央奈の携帯が鳴った。

着信画面を見ると「和也くん」の文字が・・・・

理央奈が着信画面を見たまま小さくため息をつき

出ようかどうしようか迷っていると、涼子が「亀ちゃん?」と聞いてきた。

頷く理央奈に涼子は

「出ないの? 亀ちゃんが話ししたいから電話くれてるんだよ」と声をかけた。

「そうだけど・・・・・」

そんな会話をしていると亀梨からの電話が切れ

「不在着信あり」の文字をじっと見つめる理央奈

数分後 「ちゃんと話したいんだけど 会えない?」

そう書いてある亀梨からのメールが届く 

だが理央奈は返信をせずに、そのまま携帯を閉じた。

理央奈の寂しそうな表情を見て、涼子は

「理央奈 ちゃんと亀ちゃんの気持ち聞いた方がいいよ

 もしかしたら誤解あるかしれないし わからないじゃない

 亀ちゃんが話したいって言ってるんだから、話しておいでよ」

「・・・・・・和也くんの気持ち 今聞くのは怖い 

 『友達としか思えない』とかって言われたら、もう和也くんに会えないよ」

「そんなの話してみないとわからないじゃない ね!」

理央奈の肩に手を置き、励ますように微笑む涼子

理央奈は小さな声で「今日は無理かな 明日メールしてみるよ」って呟き

立ち上がって教室を一人先に出て、下駄箱に向った。

理央奈はいつも優しく微笑んでくれる和也の顔を思い出して

胸が苦しくて泣きそうになったが

上を向き、流れそうになる涙を一生懸命に止めようとした。



理央奈に電話をかけたが出てもらえず、亀梨は仕方なくメールを送り

理央奈からの返信を待ったが

その日のうちに理央奈からメールが入ることはなかった。

次の日も朝から理央奈にメールを打つ「今日話せない?」

それでも理央奈から返信が来ることはなく、授業中、休憩時間

着信音のならない携帯電話を何度も開き

理央奈から返信がないかを気にする亀梨

そしてそれを見ている赤西

「亀 そんなに理央奈ちゃんが気になるんなら会いに行けよ」

「あいつが会いたくないって思ってるのに会いに行っても・・・」

「お前アホだろ 理央奈ちゃんはお前にフラれたと思ったから会いたくないんだぜ

 そうじゃないんなら、そうじゃないって言って来いよ」聖にはそう言われ

中丸には「亀はどうしたいの?」と聞かれる亀梨

「どうしたいって・・・・・わからねぇ」少し首を傾けて答える亀梨に

「わからねぇってなんだよ」聖が呆れた表情で、その先の言葉を求めた。

「あいつの事かわいいって思うし、一緒にいて楽しいとも思う

 好きだって言われてうれしかったし・・・・・

 だけど好きなのかって聞かれるとわからねぇ」

「じゃあ そう言えばいいじゃんかよ 今思ってること伝えて来いよ」

赤西にそう言われ

「それで、いいのかな?」少し首を傾げる亀梨

「このままじゃどうにもなんねぇだろ」赤西の言葉に

亀梨は小さく頷き理央奈に会いに行く決心をする。




放課後の星南女学園の正門の前 以前理央奈を待っていたその場所で

理央奈が出てくるのを待つ亀梨

そして待つこと30分

マキや涼子たちと一緒に理央奈が歩いてくるのが見えると

亀梨は壁にもたれかかっていた体を起こし

理央奈に近づき真剣な眼差しで「ちょっといい?」って声をかけた。

まさか亀梨がココまで会いに来るとは思っていなかった理央奈は

戸惑いを感じたが胸の奥で彼が会いにくれたことが嬉しいと感じている

自分に気付いてしまった。

黙ったまま俯いている理央奈に代わってマキが、

「亀ちゃん理央奈を家まで送ってくれるかな?あたしたち用事があるんだ」って

涼子と顔を見合わせてから亀梨に頼んだ。

理央奈がマキと涼子の顔を見ると

「理央奈 がんばれ!」って言っているかのように

マキと涼子は黙って頷いて理央奈の背中を押した。

理央奈はマキと涼子の気持ちに気付き

勇気を出して亀梨の気持ちを聞いてみようと

顔を上げ彼に小さく微笑み、亀梨が「行こうか」って声をかけ

二人並んで駅の方に向かい歩き始めた。

理央奈と亀梨の後姿を見送りながら

マキと涼子は理央奈の思いが亀梨に届くようにと願うことしか出来ないでいた。



亀梨が理央奈に今の気持ちを伝えようと「あのさぁ」って声を出すと

同じタイミングで理央奈も「あのね」って話してきて

二人で顔を見合わせて、クスって笑った。

「先に良いよ」って亀梨が言うと

「メールの返事送らなくてごめんね」って理央奈が謝り

「いや いいよ 俺の言い方が悪くてお前・・・・理央奈を傷つけたんだし・・・」

亀梨が言葉を選びながら話し始めた。

言い方が悪いって???

理央奈が少し首をかしげ不思議そうな顔をして亀梨の方を向くと

「気にしてないって言ったのは

 あの・・・・断ったとか、流したってことじゃなくて

 その・・・・・理央奈が気まずそうにしてたから、つい言っただけで」

亀梨はそう言って次の言葉を捜しているみたいだ。

「だから・・・・・正直に言うとよくわからねぇんだよ

 だからもう少し待ってくれねぇかな 返事」

「じゃあ あたし和也くんのこと諦めなくていいの? まだ好きでいていいの?」

自分を真っ直ぐに見て問いかけるくる理央奈に亀梨は

「そんなストレートに言われると・・・・」照れたように顔をそむけて小さく笑った。

「わかった あたし待つよ 和也くんに好きになってもらえるように頑張る」

理央奈は恥かしそうに笑いながら、亀梨の顔をチラッと見てまた下を向いた。

「ば~か! 頑張ることじゃねぇだろ そのままでいいんだよ」

亀梨の言葉に理央奈が顔を上げると

亀梨が柔らかで暖かい表情で理央奈を見ていて

理央奈の顔も自然にほころんで、二人で顔を見合わせて笑っている。



~第2章~ 「 不安 」

ある日の放課後 駅前で待ち合わせをしてマックに行く途中

先頭を歩いていたマキが突然後ろ向きになり

「ねぇ 今度みんなで遊園地とか行かない?」って言うと

「遊園地って顔かよ 俺らが・・・」と答える赤西

「もしかして絶叫マシンが怖いとか?」そう言い掛けたマキに理央奈が

「マキ あぶない前!」と叫んだ

マキが慌てて前を向くと、4~5人の男子生徒が前から歩いてきて

その内の一人とマキがぶつかり、よろけたマキの腕を中丸が掴んで助けた。

「ごめん ありがとね ゆっち」そう言うマキに

ぶつかった男子生徒が「俺らに先に謝るべきじゃないの?」って声をかけてきた。

すると赤西が「お前 郷田じゃんか」って

いつもより低い声で相手を睨みつけている。

「赤西に亀梨かよ お前ら最近大人しいらしいけど、ふ~ん そういうこと」

郷田と言う男が赤西に詰め寄り、お互いが睨みを利かせあっている。

「そ~いう事ってなんだよ」いつもふざけている聖も上目ずかいで相手を睨む

「女とイチャイチャしすぎて、俺らのことなんて忘れたかと思ったよ」

「女にモテないからってひがむなよ」赤西が見下したように言うと

「何だとてめぇ」

「なんだよ やるのかよ!」って赤西の怒声が響き、

今までそんな赤西を見たことがない理央奈たちは驚いた表情をしていて

それに気付いた亀梨が理央奈たちをかばう様にして前に立った。

今にも殴りかかりそうな赤西に「やめろ 仁!」と怒鳴る亀梨

亀梨の方を向くと、その後ろにいる理央奈たちが目に入り赤西は

今ケンカ出来るような状況じゃないことを思い出して、少し冷静さを取り戻すと

「なんだよ かかってこないのかよ」ってケンカを吹っかけてくる郷田を

「てめぇなんて弱すぎて相手にならねぇ」って鼻で笑ってから距離を開けた。

赤西のその言葉にキレて殴りかかりそうな郷田に亀梨が

「今日はケンカしねぇって言ってんだろ」って凄んでみせ、

郷田は少しビビッたようで舌打ちをして悔しそうな表情で、

バツが悪そうに通り過ぎていった。

すると後ろをクルッと向いて赤西が

「わりぃ お前ら一緒なのつい忘れちまった」って手を合わせて謝ってきて

マキが「あたしらと一緒のときにケンカしたら許さないから」って

赤西の耳をグッと引っ張り「いてぇ~!!」って赤西が叫んでる。

「赤西にそんなこと出来る女の子ってマキちゃんぐらいだよな」って中丸が呟いて

聖と亀梨が頷くと「そんなことより、これどうにかしろよ」ってマキの手を指差す赤西

理央奈が「マキ もういいじゃない」って声をかけると

ようやくマキは赤西の耳を掴んでいた手を離した。

理央奈はさっき郷田という男に怒鳴った亀梨を見て

初めて会った日のことを思い出していた。

理央奈を襲ってきた男から守るために、その男を殴り怒鳴りつけた亀梨を・・・・

そして「大丈夫」って言った優しい声と、微笑を・・・・

理央奈と一緒にいる時は、いつも穏やかな表情をしている亀梨

亀梨が以前よくケンカをしていたって聞いてもピンッとはこなかったが

あたしと出会う前はこんな風にケンカしていたんだなぁ・・・・

理央奈は、そんなことを考えながら

自分たちに何度も「ごめん」って謝る4人を見ていた。


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内容によっては承認しない。削除する事もありますのでご了承ください。

初めてコメントされる方は、必ず簡単な自己紹介と「はじめて」だと言うことをお知らせください。
申し訳ないのですが、分からないこともあるので。

あとギャル文字は解読不可能なのでご遠慮いただきたいです。
ホントに読めないんです。ごめんなさい。

諸事情で隠しコメントは受け付けていませんし、コメレスもしていません。

ごめんなさい


ひらり
プロフィール

   hirari

Author:   hirari
中1の男の子、小3の女の子の母です。

亀ちゃんが好きすぎて息子に呆れられ、旦那に「うざい」と言われたちょっとアホな30代です。

仁亀萌えしておりまして、腐った発言多々あります(笑)。

今後もKAT-TUNと仁、両方を応援していきますのでよろしく!



ひと恋の弘人で亀堕しました。

めっちゃ長い「ひと恋」感想、小説「さがしもの ~弘人と菜緒~」など書いてますので、良かったら読んでやってくだパイ。


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