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2006/11
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あなたを求めて・・・ 
今日のお昼 和也から「スタッフさんと夕飯食べて帰るから」とメールが入り

ちょっと寂しいと思いながら、あたしは「わかった」と返信をして

会社の同期の友達、美奈に誘われていた食事会に参加することにした。

和也と付き合い始めて、飲み会への参加の少なくなっていたあたしに美奈が

「○○ 最近ずっと付き合い悪かったのに、今日は珍しいね

 彼氏と別れたの?」と聞いてきたので、あたしは意地悪く「どうかな?」と答え

答えを濁しながら、ビールのお代わりを頼んだ。

すると向かいの席に座っていた後輩の松本くんが

「○○さん 彼氏いるんですか?」と聞いてきたので

「うん いるよ」とあたしが答えると、松本くんは「なんだ 残念だな」と呟きながら

こちらのの反応を確かめるように、あたしの顔を見つめた。

「そんな事言って、からかわないでよね」あたしはそう言って彼の言葉を流して

「別れたんじゃないんだ? じゃあ今日はなんで参加したの?」と聞いてくる美奈に

「彼の帰りが遅いってメールが入ったから、たまにはいいかなって思ってね」と答えると

「そう言えば、同棲してるって言ってたよね」と美奈が呟き

「じゃあ この後、皆でclubに行くんだけど○○も一緒に行こうよ

 彼氏の帰り遅いんならいいでしょ? ね?」と強引に誘われ

酔っている美奈をそのままにも出来ず、あたしは一緒にclubに行くことにした。

clubに向かうタクシーの中で美奈が「あたし原さんのこと狙ってるんだよね

 だから、あたしが原さんと二人になれるように協力してよ」と頼んできたので

「それはいいけど、彼って遊んでるって聞くけどいいの?」と美奈に聞き返すと

「別に本命を狙ってるわけじゃないからいいの」と彼女は答えた。

本命じゃなくていいって何それ?

あたしは美奈の言った言葉に呆れため息をつきながら、和也に

「飲み会の後、clbuに行くって言うから、あたしもちょっと行ってみるね」とメールを送った。

目的の店に到着したタクシーの窓から、明るく光るネオンの看板が目に入り

あたしはその看板の文字に見覚えがあることに気がついた。

この店って和也が時々行くって言ってたclubだよね?

和也スタッフさんと来てたりしないかな・・・・・ってそんな分けないよね

あたしは一人薄ら笑いを浮かべ「何一人で笑ってるの?」と問いかけてくる美奈に

「何でもない」と答えながら店に入り、自然に美奈が原さんの隣に座れるように仕向けた。

そう言えばclubに来たのって初めてかも・・・・

そんな事を思いながら店内を見回しているあたしに、

「もしかして○○さんってclub初めてなの?」と後輩の松本くんが話しかけてきて

「そうなんだよね 今まで来る機会も興味もなかったしね」とあたしは答えた。

「じゃあ 折角なんだから踊りませんか?」そう言ってあたしは手を引かれて

松本くんに強引にホールに連れて行かれ、ドキドキしながら何となく周りの人や

曲に合わせて体を揺らせた。

こんなのでいいのかな? あたし浮いてない?

あたしが不安になりながら、周りを見渡していると後ろで踊っている女の子たちの

会話が突然耳に入ってきた。

「ねぇねぇ 今聞いたんだけど、VIPルームにKAT-TUNの亀梨くん来てるらしいよ?」

「えっマジで?」

「うん 店員のお兄さんが教えてくれたから間違いないよ」

「ちょっとVIPルームってどこよ?」

「奥の方じゃない? あたし達には入れないだろうけど・・・」

「入れないんじゃ会えないじゃん つまんない~!!!」

え?ホントに和也ココに来てるんだ?

でも会えないんだね・・・・・こんな所で、和也との距離を感じちゃうなんて・・・

あたしは思わず足を止め席に戻ろうと体をひるがえすと

席では美奈が原さんといい雰囲気で寄り添っていて、あたしはため息を着つき

カクテルを手に持ち、少し離れたテーブルに一人座わって何となく携帯を開いた。

すると和也から「俺も時々行くclubに来てるんだ お前どこのclubにいるの?」と

メールが入っていて「多分和也のいるclub でももうすぐ帰るつもり

友達が会社の先輩といい雰囲気で、つまらないから」と返信をして

あたしは鞄を手に持ち、和也の部屋に帰ろうと立ち上がった。


この続きは「秘密の小部屋」の住人様限定になります。

ごめんなさい。


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「 あなたの愛を 」

あなたの発するいろんな言葉の端々に

たくさんの愛を感じるよ

仲間、ファン、モノにまで・・・

あなたの愛をたくさん、たくさん受け取って

あたし達はもっともっとあなたのことを好きになる



あなたの愛を独り占めには出来ないけれど

あなたの大きな愛を少しずつ

みんなで仲良く分け合って

あたし達は幸せになる



 「 幸せですか? 」
毎日が同じことの繰り返し
不満があった訳じゃないけれど
心が満たされてはいなかった

だけど、あなたを見つけたよ
あなたの事を知ってしまったよ
もう昔の私を思い出せない

ホンの小さな出来事で
喜んだり凹んだり
ちょっと疲れることもあるけれど
それでも、今が楽しいよ

たくさんの友達にも出会えたよ
やっぱり、それもあなたのおかげ

あなたに会える訳でも
言葉を交わせる訳でもないけれど
あなたが笑ってる
ただそれだけで、私の心が満たされる

亀ちゃん
あなたは今、幸せですか?

私を幸せにしてくれたあなたには、
誰よりも幸せでいて欲しい

               hirari

これが、私の思いの全てです。








桜の精が見せた夢 ≪1話≫
4月になったばかりの金曜日の夜

俺は友達の山下と一緒に、上野公園の夜桜を見に出掛けた。

深夜2時を過ぎた公園は人も疎らで、俺達が仕事の話や会社の上司の愚痴などを零しながらゆっくりと歩いていると、大きな桜の木の下に一人佇む女性を見つけた。

「なぁ あの女の人泣いてないか?」

山下の言葉で女性の方を振り向くと、そこには見覚えのある顔が・・・。

「・・・広海さん?」

「お前知ってんの?」

「中学の時の家庭教師」

「・・・お前の初恋の?」

「お前そんな事よく覚えてんな」

山下の言葉に苦笑いをしながら俺は彼女に近づいた。

「広海さん」

驚いた彼女は俺の顔を見て涙を拭きながら、ちょっと怪訝そうな表情を見せた。

「俺だよ、和也。憶えてない?」

「和也・・・くん?」

「俺が中3の時、広海さんに家庭教師してもらってた、亀梨和也」

「えっ あの和也くん?」

驚いて俺の顔を見上げる広海さんの潤んだ瞳に嘘のようにキレイな満月が映りこみ、俺は息を呑みながら彼女に問い掛けた。

「こんな時間にどうしたの?」

俺の言葉に黙り込む彼女。

すると山下が「俺、今日は帰るわ」そう言って俺の肩を優しく叩いた。

「俺がいない方がいいだろ。彼女の話ゆっくり聞いてやれよ」

カッコ付けらしい爽やかな笑顔を見せ、右手をジーンズのポケットに突っ込み左手を軽く上げる山下。

「おぅ またな」

俺は軽く手を上げて答えると、俯いている彼女の顔を覗き込んだ。

「広海さん ちょっとベンチに座らない?」

指差した先にあるベンチに俺が腰を下ろすと、彼女はゆっくりと歩み寄り「和也くん大人になったね」と呟いた。

「俺もう24歳だよ。いつまでも子供のままじゃないよ」

「そっか・・・あたしも年取っちゃうわけだ」

「広海さんは31・・・だったかな?」

「良く憶えてるのね。・・・あたしおばちゃんになった?」

「そんな事ないよ。だって俺一目で広海さんだって気が付いたもん」

「うふふっ・・・お世辞でも嬉しい」

彼女はそう言って、また涙を浮かべて悲しそうに微笑んだ。

「ごめん。久しぶりに会ったのに・・・。和也くん困るよね。
ホントごめんね」

「大丈夫だよ。俺でいいんなら話聞くし、話したくないなら話さなくていい。
泣きたい時は泣いたらいいんだよ」

「もう・・・ホントにあの和也くんなの?
なんだか大人になってて、違う人みたい」

「違う人か・・・そうかもしれないね。
俺だってあれから色んな事経験して来たから、広海さんの知らない俺になってるのかもしれない。
今ならあの頃の俺には出来なかった事も出来るかな」

「出来なかったこと?」

「俺、あの頃広海さんの事好きだったんだ。
だけど15歳の俺には、それを伝える勇気がなかった。
7歳も年上のあなたにバカにされるのが怖かったんだ」

「バカになんて・・・」

「広海さんは俺の初恋だよ。だからあなたには幸せになって欲しい。
その為に出来る事なら俺、なんだってするよ」

「・・・和也くん」

「ねぇ その涙の訳を教えてくれない?」

俺の問い掛けに小さく頷くと、彼女はぽつりぽつりと言葉を選びながら話し始めた。

学生時代から付き合っていた彼と結婚して8年。

子宝に恵まれることはなかったけれど、大切にされていると思っていた。

しかし愛し合っていると思っていたのは自分だけで、本当はそうじゃなかったと・・・。

彼は数年前から浮気をしていたらしく、その相手が妊娠したから別れて欲しいと告げられて動揺した彼女は家を飛び出し、毎年二人で来ていた桜を見に来たのだと呟いた。

「ホントはね感じてたんだ。
彼にとって、あたしが女じゃなくなってるんじゃないかって・・・。
家族として大切に思っているけど、女として必要とされてないって。
でもそれを認めるのが怖かった。
だから彼の浮気に気付かないフリをしていたんだと思う」

「旦那さんの浮気に気付いてたの?」

「ハッキリとは分からなかったけど、なんとなくね」

「それで広海さんはどうしたいの?」

「分からない。裏切られたって気持ち強いけど、でも別れる決心はつかないの。
それに・・・一人でやっていく自信ない」

「生活のこととか?」

「新しい一歩踏み出す勇気ないよ。
あたしの事必要としてくれる仕事があるのか・・・とか。
一人で立って歩く方法忘れちゃった」

「すぐに一人で立つ必要ないんじゃない?
広海さんには家族だって、友達だっているだろ?
広海さんは一人じゃないから。必要なら、俺だって力になるよ」

「・・・ありがとう。
あたしまた歩き出せるかな? 幸せ見つけられるかな?」

「大丈夫だよ」

「こんなおばさんでも、新しい恋探せる?」

「だから広海さんはおばさんじゃないって」

「和也くんがそう言ってくれたら、本当のような気がしてきた。
ありがとうね」

「俺は本気で思ってるよ」

そう呟くと俺は彼女の頬に手を伸ばし、そっと唇を重ね合わせた。

驚いた表情の彼女を抱き寄せ「広海さんは今でも魅力的な人だよ」囁くように呟くと、彼女の手が俺の背中をギュッと抱きしめた。

「和也くん・・・お願いがあるの」

「いいよ。何?」

「あたしの事、嫌ったりしない?」

「何だよ、急に。お願いって何?」

「・・・抱いて欲しいの」

「えっ?」

彼女の言葉に驚き体を離すと、広海さんは俯きながら「自分が女なんだって思い出したいの。女性としての自信取戻したい。こんなこと言ったら軽蔑されちゃうかな?」って呟いた。

そんな彼女を俺はまた抱きしめる。

「そんな事ないよ。俺は大歓迎。
それで広海さんが自信取戻せるんなら、喜んで」

「・・・ごめん」

微かに震える声で謝る彼女を、俺はギュッと強く抱きしめた。


つづく・・・


桜の精が見せた夢 ≪2話≫
俯き黙ったまま歩く彼女の手を握り、俺はホテル街を奥へと進んだ。

眩いネオンの看板の下を潜り抜け、適当に選んだ部屋のボタンを押しエレベーターに乗り込むと緊張を隠せない彼女の肩を俺はゆっくりと抱き寄せた。

「大丈夫?」

黙ったままコクンと頷く彼女。

部屋に入ると俺はすぐにバスタブにお湯を張り、高鳴る心臓の音を隠すように彼女に明るく問いかけた。

「ねぇ 広海さん。一緒にフロ入らない?」

「えっ?」

思いも寄らなかったのか、彼女はちょっと間の抜けた声を上げた。

「俺も広海さんも緊張し過ぎで、ちょっと笑える。
だから一緒にお風呂入って、リラックスしようよ」

「恥ずかしいから、いいよ」

「恥ずかしいなら電気点けなければいい。ダメ・・・かな?」

わざと甘えるように彼女の顔を覗き込むと、広海さんは顔を赤くして小さく頷いた。

「よし、じゃあ俺先入ってるね」

そう言って俺は一人脱衣所に向かい、大きな鏡の前で自分の頬をパチンと叩いた。

【情けねぇ・・・俺は15歳のガキかよ。
あの頃の俺とは違うんだ。しっかりしろよ】

微かに震える手をギュッと握り締めると、着ている服を一気に脱ぎ捨て俺はお風呂場のドアを開けた。

本当ならそのまま彼女をベッドに押し倒したかった。

だけど俺はギリギリのところで彼女に考える時間を与えた。

俺が先にフロに入った後、彼女はきっと先に進むか、後戻りするか考えるだろう。

もしかしたら、このまま部屋を出て行ってしまうかもしれない。

でも、それならそれで構わない。

一時の感情で俺と体を重ねてしまえば、彼女の心にもっと深い傷を残してしまう。

だから、今一度彼女に考えて欲しかった。

でももし彼女がこのドアを開けて入ってきたら、俺はもう自分の気持ちを抑えることは出来ないだろう。

ずっと、ずっと憧れていた人に触れられるのだから、絶対に後戻りなんてさせはしない。

キレイに体を洗い湯船に浸かって只管彼女が入ってくるの祈るような気持ちで待っていると、カチャリと音を立ててドアがゆっくりと開いた。

バスタブにもたれ掛かっていた体を起こしドアに目をやると「お願い、こっち見ないで」彼女が小さな声で囁いた。

照明が消され真っ暗になった浴室に、ヒタヒタと云う足音が聞こえる。

キュキュッ・・・シャーッ・・・

蛇口を捻りシャワーが勢い良く流れる音が聞こえると、俺は深呼吸をした後湯船に顔をつけて潜った。

【これで覚悟は決まった】

「ねぇ 和也くん」

「ん?」

「本当に見えてない?」

「見えてないよ。何となく広海さんが何処にいるかは分かるけど・・・。
その程度だよ」

「そっか・・・良かった」

今から抱き合おうと言うのに、良かったも何もないだろう。

俺はクスッと笑みを漏らせると「広海さん早くこっちおいでよ」と彼女を急かした。

「・・・ぅん」

小さく返事をし立ち上がった彼女のシルエットが白く浮き上がると、俺はごくりと唾を飲み込んだ。

そしてその白い肌は、俺から遠く離れ向かい合わせになるように湯船に体を沈める。

「なんでそっちなの?」

「だって・・・」

言い訳を口にしようとする彼女の腕を掴み力強く引き寄せると、俺は背中から彼女を抱き締め自分の腕の中にいる彼女を確かめた。

【これは夢じゃない】

「広海さん 大丈夫?
後悔・・・しない?」

「・・・ぅん」

「今更イヤだって言われても、無理だけど」

「・・・うん」

彼女はそう応えると、自分の体に回された俺の腕をギュッと掴んだ。

「お風呂入っても、やっぱり緊張すんね」

「うん」

「広海さん さっきから『うん』ばっかり」

「・・・うんっ」

「ほらっまた!」

俺の言葉に彼女は息を漏らして笑い「ホントだね」って呟いた。

「ねぇ 広海さん。俺のお願いも聞いてくれる?」

「何?」

「頭洗ってくれない?」

「頭?」

「うん。広海さんに洗って欲しい」

「和也くん子供みたい」

彼女はくすりと息を零して笑った。

「久しぶりに広海さんに甘えてみたいんだ」

「わかった。いいよ」

彼女の言葉で俺は立ち上がり、暗がりに慣れた目でイスを探して腰掛けた。

「普段もこんな風に彼女に甘えるの?」

背後に立ち俺の頭にシャワーをかけると、シャンプーを手に取り彼女は優しく俺の髪を洗い始めた。

「そんな事しないよ。広海さんだからだよ」

「・・・そっか。何か嬉しいかも」

「それに、今彼女いないし。いくらなんでも彼女いたらココに来ないよ」

「良かった。ホントはちょっと心配だったんだ」

「何が?」

「だってあたしが和也くんに浮気させる訳にいかないじゃない。
あたしと同じ思い、和也くんの彼女にさせられないって・・・思った」

そう呟いた彼女の声は、微かに震えていた。

「それなのに、確かめる事しなかったあたしはずるいね。
和也くんの優しさに甘えて・・・」

「何言ってるの?今甘えてるのは俺の方だよ。
だって、広海さんに髪洗ってもらってるじゃん。俺」

「・・・ばかっ」

小さく呟くと彼女は鼻をすする音を隠すように勢い良くシャワーを出し始め、俺の髪についている泡を優しく、優しく洗い流してくれた。

そしてタオルを手にすると、ワシャワシャと音を立てながら俺の髪を拭く彼女に「昔も同じように髪の毛拭いてもらったことあるの憶えてる?」と問いかけた。

「そうだったかな?」

「大雨で濡れて帰った俺の髪を、広海さんがタオルで拭いてくれたんだ。
あの時からだよ。俺が広海さんを女の人として意識し始めたのは・・・。
それが俺の初恋が始まった瞬間だったんだ」

そう告げると俺は、自分の頭に添えられている彼女の手を掴んで引き寄せた。



この続きは小部屋の住人様限定です

ラストシーンは3話へつづく・・・




桜の精が見せた夢 ≪3話≫
そしてまた、桜の季節が訪れた。

再会してから1年。彼女から連絡が来ることはなかった。

今となってはあの日の出来事は、夢だったのかもしれないとさえ思える。

樹齢300年を超える桜の木の下で見つけた彼女は、儚げで今にも消えてしまいそうだった。

俺が出逢った彼女はあの桜の木の精が見せた夢?

それとも彼女自身が桜の精だったのかもしれない。

9年間ずっと消えることのなかった彼女への思いに気付いた桜の精が、一瞬だけ俺に見せた夢。

きっと、そうに違いない。



週末の夜、山下に誘われ合コンに来ていた俺はひとり盛り上がることなく、チビチビとビールを飲んでいた。

隣に座った女の子はあからさまに俺に好意を表すが、どうもその気になれない。

「和也くん この後二人で抜けない?」

【和也くん呼びかよ】

「いや、この後予定あるからやめとく」

「え~!!!そんなのつまんない」

【いや、お前のことなんてしらねぇし】

彼女の誘いを適当な理由をつけて断った俺は、その場を離れるためにタバコを吸おうと店の外に出た。

「はぁぁ めんどくせぇ」

ポケットから取り出したタバコに火をつけ、ホッと一息吐き出した。

あの女の子だって可愛い子だし、タイプじゃない訳じゃない。

きっと前の俺だったら、そのままホテル・・・なんて事もあっただろう。

でも、今の俺は新しい恋なんて探してない。

俺が見つけたいのは、逢いたいのは広海さんなんだ。

「来るんじゃなかったなぁ」

俺の心の声が勝手に出てしまったのかと思うような言葉に驚き振り向くと「そう思ってねぇ?」山下がそう問いかけてきた。

「俺は・・・別に」

「亀 お前はどうしたいの?新しい恋探す気ないの?
お前が1年以上も彼女作らないの初めてだろ。だから今日だってお前のためにセッティングしたのに・・・」

「は? 俺の為?」

「1年待ったけど連絡ないんだろ?もう忘れろよ」

「別にそんなんじゃ・・・」

「俺に嘘言ってどうすんだよ。
お前は連絡先を書いたメモを渡した。だけど彼女からの連絡はない。
それが答えだろ」

「そんなの分かってるよ」

「そっ、ならいいけど」

山下の言うことは間違ってない。

頭では分かっているのに、心がそれを受け入れられない。

「で、この後どうすんの?」

山下はそう言って店の中を指差した。

「ごめん、帰るわ。ちょっと行きたいとことあるんだ」

俺は山下の誘いを断り、一人深夜の上野公園に行こうと思っていた。

何故だか分からないけど、あの桜の木に呼ばれているようなそんな気がして…。

一年振りに見る桜の木は今年も見事な花を咲かせ、春の風に吹かれてヒラヒラと儚く花びらを零していた。

「お前なんで俺を呼んだんだよ」

そんな事桜の木に問い掛けても答えてくれるはずもない。

それどころか、桜の木が呼んだと思ったのは俺の勝手な思い込み。

ふと見上げるとあの日と同じ様な満月が夜空に浮かび、冷めた顔をして俺を見下ろしている。

樹齢300年の桜の木と満月。

深夜の幻想的な世界で、俺は一人彼女へ思いを馳せた。

「なぁ もう彼女に逢う事出来ないのかなぁ?
・・・頼むよ。
もう一度彼女に逢わせてくれよ。
お前が俺と彼女を逢わせたんだろ?
だったら最後まで責任取れよ」

桜を見上げながらバカな独り言を呟き込み上げてきそうな思いに顔を歪ませた時、微かに木の枝を踏んだようなパキッと云う音が聞こえ俺はゆっくりと振り向いた。

するとそこには月明かりに照らされた桜の木々の中、瞳に涙をいっぱいに溜めた広海さんが立っていた。

「・・・なんで?」

ずっと逢いたかった彼女が突然目の前に現れ、瞬きをすることも忘れて俺は彼女を見つめた。

「分からない。何故だか桜の木に呼ばれているような気がしたの。
ここに来れば、和也くんに会えるような気がした」

「俺に会いに来たの?」

ゆっくりと一歩を踏み出すと彼女の元への歩み寄り、涙を拭う彼女をそっと抱きしめた。

「じゃあどうして連絡くれなかったんだよ。俺、ずっと待ってたんだ。
広海さんから連絡来るの、待ってた」

「ごめんなさい。
あの日家に帰って彼と話し合っている時に、和也くんの連絡先を書いた紙が見つかってしまって、燃やされちゃったの。
まだ携帯に登録もしてなくて、どうすることも出来なかった」

「俺の会社教えたじゃん」

「うん。だから一度逢いに行ったの。
そしたら和也くんが女の子と出て来て、声・・・掛けられなかった」

「俺がどんな思いでこの1年間、広海さんのこと待ってたと思うんだよ」

「あたしも和也くんに逢いたかった。こんな風に抱きしめて欲しかった」

「お願いだから、もう消えないで。
ずっと、ずっと傍にいてよ」

俺の腕の中で彼女は何度も小さく頷き、俺は今抱きしめている彼女が幻じゃないと確かめるようにギュッと強く抱きしめた。




桜の精 お願いだから、二度と彼女を消さないで。
俺から彼女を奪わないで。
さっきは文句言ってごめんな。
もう一度彼女に逢わせてくれてありがとう。




俺達を見下ろすように立っている桜の木に見せ付けるように、俺達は何度も何度も熱いキスを交わした。

10年越しの俺の初恋は、こうして桜の精が見せた夢によって花を咲かせることが出来た。

桜の花のようには、決して散ることのない花を・・・。



おわり



上野公園に樹齢300年の桜の木なんてないよね?

その辺は許してぇ(笑)

「 寂しいね 」
あの時確かに

あなたと同じ空間にいて

あなたを見つめてたはずなのに

「夢だったのかな?」

そんな気さえしてくるの



「あなたに会える」そう思うだけで

ワクワクしてたはずたのに

どうして今はこんなにも

あたしの心は寂しいの?

もっとあなたの近くに行きたい

もっとあなたを見つめていたい

もっともっとって、あたしの心は欲張りになる

どれだけあなたを求めても

叶うはずなんてないのにね

           hirari
「 幸せだね 」
「幸せだね」って

あの日 あなたが呟いた

他の誰に言われた言葉より

嬉しかったはずなのに

どうしてあなたの手を

あの時、離してしまったのだろう

あなたの愛も優しささえも

重いと感じた幼い私

もしも私があなたの愛を

受け止められる大人だったら

あなたは今も私の隣で

「幸せだね」って微笑んでたかな?
「 遠い人 」
手を伸ばせば届きそうな程

こんなにあなたが近くにいるのに

いつもより遠く感じるのはなぜだろう

あなたのキラキラした笑顔も

会場を埋め尽くしたお客さんも

あなたを見つめるみんなの瞳も

全てがあなたが遠い人だと言ってるみたい

あなたを思えば思うほど

あなたが遠い人だと気付かされるの

あたしの思いは、どこに向えばいいのだろう

                       hirari



ドリボを見た後の気持ちです
「 何もいらない 」
何があっても、どんなに辛くても

歯を食いしばってがんばる

そんなあなたが大好きなのに

今はただ、そんなあなたが心配になる

あなたが無事でいてくれたら

それ以外は何もいらない

だからお願い! 無理をしないで

あなたが辛い時

何もしてあげられない自分の事がもどかしい

あたしに出来る事は

あなたの無事を祈ることだけなの?

hirari
「 言葉 」
あなたを思って綴った言葉が

あたしの心に突き刺さる

どんなにあなたを思っても

どんなにあなたを感じても

あなたに触れることの出来ない現実に

あたしの心がくじけそう



だけど、その心を支えてくれるのも

やっぱりあなたなんだよね

「 あなたが好き 」

今はただ、その言葉しか見つからない


「 あなたの心 」
叶わぬ夢だと分かっていても

それでも願ってしまうのは

あなたの事が大好きだから

一度でいいから、あなたにそっと触れてみたい

あなたの手に、髪に、胸に、唇に・・・・

だけど一番触れてみたいのは

きっとあなたの心なんだ



一方通行の恋だけど瞳を閉じると

いつでもあなたを感じるよ

いつもあなたは私の隣にいてくれて

たくさんの元気を貰っているよ

あなたに貰ってるくらいのパワーを

あなたに返せているのかな?

あなたの心に私の思いは、

少しだけでも届いてるかな?

hirari
「 きっと 」
 あなたの瞳の中にある
 キラキラ輝くその光は
 あなたの未来を照らしてる

 きっとあなたは迷う事なく真っ直ぐと
 進むべき道 歩んでいくはず

 あなたの見据えるその先に
 どんな景色が映ってるいの?

 何年先か分からないけど
 きっとあなたはその場所に
 たどり着いているんだよね

 そしてその場所に立つとき
 あなたはきっと一人じゃないはず
 あなたの仲間も一緒だよね

 全速力でその場所に
 駆け上がってく
 あなた達をこれからも
 ずっとずっと見つめていくよ
               hirari
「 私の隣・・・ 」
今、あなたは私の隣で笑ってる

あなたのたばこを吸う横顔が好き

あなたの照れた時の咳払いが好き

あなたのやさしい手の温もりが好き

「すきだよ」と優しく囁くあなたの声が好き

私の髪を優しく撫でるあなたの手が好き

私を見つめるあなたの目が好き

私の話を聞きながら、優しく微笑むあなたが好き

どれもこれも、私の隣にいるあなた




弘人を思って作ってみました(^^ゞ
「 不思議なお友達 」
知ってることより、知らないことの方が多いし

顔も声も名前さえも知らないよ

だけど、距離や時間なんて関係なくて

「彼が好き」ただそれだけで

巡り会えたお友達

今まで知り合ってきた人とは何かが違う

だけど、やっぱり大切で

大事な大事な、ちょっと不思議なお友達



「 泣かないで 」
私の為に泣かないで

私はきっと大丈夫

だから私の大好きな

あなたの笑顔を見せてください

あなたの笑顔があるだけで

どんなことでも乗り越えられる そんな気がする

だから私は大丈夫!!




なんとなく頭の中に出てきた詩です

う~ん 何が言いたいんだろう? 私は・・・
初めてコメントされる方へ

ブログに遊びに来られる方が増えて、把握できてない場合もあるので

必ず初めてということを教えてくださいね

あと少しでいいので自己紹介していただけると嬉しいです

「30代の主婦で関東に住んでます」みたいな感じでいいので

よろしくお願いしますm(__)m

「かわいい恋人へ」
いつまでも子供だなんて思っていたけど

いつの間にか大きくなったね

靴のサイズも私と同じ

文句を言うのは一人前

小さい小さいかわいい手で私の指をギュッて握る

あなたのかわいい手のやわらかさ

ちょっと前の気がしてたけど

もう10年になるんだよね

今はまだ、抱っこもチューもさせてくれるけど

いつかはあなたも私から

離れていく日が来るんだよね

あなたが成長していくのが楽しみだったのに

今はちょっと寂しいよ

だから、もう少しだけお母さんの

かわいい恋人でいて欲しい



息子に当てた、親バカな詩です
「 心の中 」
あの時、あなたに出会えたことが奇跡だったと

今はそんな風に思っているの

前でもなく 後(あと)でもない

あの時だから あたしはあなたに恋をした

それからは周りの人が呆れるくらいに

あなたを中心にして

あたしの世界は広がった

誰に何を言われても

あなたが心の中にいてくれる

ただ それだけで

あたしの毎日は幸せだよ

こんな幸せがあったなんて

あなたに恋をしなければ

きっと一生 知らなかったよね

            hirari


LOST MY WAY  (1話)
明け方の5時過ぎ 

俺は目を覚ますと自分の隣で小さく寝息を立てている美鈴(みすず)の髪をそっと撫でた。

もう誰も愛さないとあの時誓ったのに。

いつか全てを失うくらいなら、もう愛なんていらない。

そう言って彼女の亡骸を抱きしめたのに、どうして俺はまた人を愛してしまったのだろう。

人を愛してしまえば、いつか自分の手で殺してしまう。

それが分かっていてどうして俺はあの時、美鈴の愛を受け入れてしまったのだろう。




美鈴の細くて白い首筋に着いた二つの赤い噛み痕に触れ「ごめん」小さく呟くと、彼女がゆっくりと目を覚まし「カズ」俺の名前を呼んだ。

「おはよ。起こしたか?」

「ううん」

小さく首を横に振ると美鈴は俺に体を寄せギュッと抱きついてきた。

「カズ、何処にも行かないでね」

「どうした?」

「カズが何処かへ行っちゃう夢みたの。
あたしを一人置いて消えちゃう夢」

俺の思いに気付いたかのような美鈴の言葉に俺は黙り込んだ。

「どうして何も言ってくれないの?
ずっと一緒にいるって言ってくれないの?」

「ずっと一緒にいたら、いつか俺はお前を殺してしまう。
もう愛する人を死なせたくないんだ。だから・・・」

すると俺の言葉を遮るように唇を強く押し当てる美鈴。

「あたしはカズを失うくらいなら死んでも構わないよ。
だってカズを失ったら、あたしは生きていけなもの。
あたしが、あたしを殺すだけ。
ねぇ カズお願いだから、あたしから離れていかないで。
あたしはカズに愛されたまま死にたいの」

俺にしがみ付き小さく震える美鈴の肩。

どうして俺は人間に生まれて来なかったのだろう。

どうして俺は人の血を吸わなければ生きていけないのだろう。

俺が美鈴を愛さなければ、こんな思いはしなかったはずなのに・・・どうして。




200年以上前 俺には愛している人がいた。

彼女を愛した時俺の体は彼女の血しか受け付けなくなり、俺は自分が生きていくために彼女の血を吸い続けた。

「どうせあと僅かな命。病に命を奪われるくらいなら、いっそあなたの為に死にたい」

泣きながら懇願する彼女の思いを断ることが出来ず、俺は生きていく為に血を与えられ続けた。

そして彼女を愛して1年が過ぎた6月。

シトシトと雨が降る夜、彼女は俺の腕の中で息絶えた。

幸せそうな笑みを最後に見せて。

それからは誰の事も愛さず、ただ一人静かにこの命が途絶えることを待つ日々。

1000年の時がただただ過ぎ去るのを俺は待っていた。自分の命が尽きるその時を。

それなのにある日突然俺の前に現れた美鈴に一瞬で心を奪われ、俺の体はまた愛する人の血しか受け付けなくなってしまった。




自分が生きていけるギリギリの量の血を、少しだけ分けて貰う。

同じ人から2度貰う事はせず、俺の記憶も消しさる。

そうやってひっそりと生きてきたのに・・・。

それなのに、どうして俺は同じ過ちを繰り返すのか。



初めて美鈴に触れた時、忘れていた温もりを思い出した。

愛しい人と肌を合わせた時の優しい気持ちと幸せな時間。

そしてそれを失うことの怖さ。

もう離れよう・・・美鈴の為に。自分の為に。

今まで何度そう思ったかわからないのに、俺は愛しい人の温もりを手放せない。

彼女を愛する日々は幸せな筈なのに、俺は迷い苦しみながら生きている。




つづく・・・





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LOST MY WAY (2話)
美鈴と愛し合うその時だけ、俺は彼女から少しだけ命を分けて貰う。

俺が生きて行く為に必要なギリギリの量の血液。

それでも確実に彼女の命を縮めてしまう愛の行為。

透けるような白い美鈴の肌がピンク色に色づいて、高揚を抑えきれない彼女の声が甘く零れる。

互いの思いを確認するようにゆっくりと愛し合い彼女の中に自分の愛を解き放つ時、俺は彼女の首に牙を立てて命を永らえる。

美鈴が意識を飛ばす瞬間、少しでも痛みを味合わせないその時に・・・。




愛し合った後美鈴はいつも深い眠りにつき、少しずつ意識が戻り始めるとうわ言の様に俺の名前を呼ぶ。

「カズ・・・か・・ず」

「ここにいるよ。俺はここにいる」

俺の言葉にゆっくりと目を開けると、美鈴は安心したような笑みを漏らす。

こんなにも愛しい人を、もうすぐ失ってしまうなんて。

溢れ出しそうな涙を隠し背中を向けると「あたしが死んでも自分を責めないでね」美鈴がそう口にした。

「カズは1000年もの時を生きる人だから、永遠の愛なんて望めない。
ずっとあたしだけを愛してなんて言えない。
だけどあたしの命が尽きる時、カズへのあたしの愛は永遠になるんだよ。
カズに愛されて永遠の愛を手にするあたしは幸せだから、自分の事を責めないで」

「なんで・・・なんで、そんなにまで俺の事」

「あたしね、ずっと、ずっとカズの事愛してたよ。
生まれるよりも、ずっと、ずっと前から。
あたしはカズを愛する為に、カズに愛される為に生れて来たんだから」

「生まれるよりも前から?」

「ねぇ カズ、いつになったら気付いてくれるの?」

「・・・・?」

「あたしの事、忘れちゃったの?」

「美鈴?」

「あたしの本当の名前は、すずだよ」

その名前を聞いた瞬間、俺の心臓は一瞬時を刻む事を忘れた。

「お前、何言ってんだよ」

「あたし言ったでしょ?生まれ変わってもあなたの事を愛するって!
あたしちゃんと生まれ変わってカズに会いに来たんだよ」

200年前俺が愛し死なせてしまった女性の名前は「すず」

自分は彼女の生まれ変わりだと言って美鈴は一生懸命に説明し始めた。

「カズに初めて会った時、やっと会えたって思ったの。
だけど、どうしてかは分からなかった。
でもカズに愛される度に、抱かれる度に少しずつ思い出していったの。
あたしは今も、昔も、ずっとカズだけを愛しているよ」

「・・・すず?」

俺の頬を暖かい涙が伝い零れ落ちる。

「そうだよ。信じてくれる?」

背中を向けたまま小さく頷くと、美鈴がそっと背中に頬を寄せた。

「ねぇ カズ?」甘くささやく様な声。

「ん?」

「どうしてあたしは吸血鬼にならないの?
吸血鬼に血を吸われると、吸われた人も吸血鬼になるんでしょ?」

「あれは物語だよ。
吸われた人全員が吸血鬼になったら、この世界は吸血鬼だらけになるだろ?」

「残念だな・・・。あたしも吸血鬼になれたらいいのに」

「どうして?」

「そうしたらカズと1000年の時を一緒に過ごせるんだよ。
永い、永い時間、カズと愛し合えるもん」

「・・・そうだな」

溢れ出した涙を気付かれない為に、俺はその一言を呟くのが精一杯だった。




つづく・・・



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LOST MY WAY (3話)
甘く解けるような時間の中で切りがない程抱き合って、最後の時間を互いの胸に刻み付ける。

「ねぇ カズ、もっとぎゅっとして」

自分の死期が近いことを悟っているのか、ここ数日美鈴は俺から体を離したがらない。

「こうか?」

腕に力を入れて問いかけると「もっと」小さな声で彼女が答える。

「これ以上抱きしめたら苦しいだろ?」

「苦しくてもいいの。もっとぎゅ~ってして」

子供のように甘える美鈴を強く抱きしめながら俺は瞳を閉じた。

日に日に透明感が増していく彼女がまた明日も目覚めることを願いながら・・・。




次の日の朝目覚めると美鈴が黙って俺の顔を見つめていた。

「おはよう」

ホッとした気持ちで囁くと「ねぇ カズ、抱いて」彼女はそう口にした。

「そんなの無理だよ」

「お願い、もう時間がないの」

やっぱり分かっているんだな。

「それなら尚更無理は出来ないよ。俺は少しでも長くお前と一緒にいたい」

「あたし言ったでしょ。カズに愛されたまま死にたいって。だからお願い」

どこまでも俺の愛を求める美鈴。

お前の思いに応える事が、俺にとってどれだけ残酷な事か分かっているのだろうか。

愛し合った後どうなるのかなんて考えなくても分かってる。

だけど俺は彼女の最後の願いを聞きいれ、その白い首筋にそっと唇を寄せた。

力なく俺を抱きしめる腕と、微かに零れる美鈴の吐息。

きっと、これが最後。

そう思うと俺は涙を抑えることなど出来なかった。

瞳を閉じたままの美鈴にくちづけると「カズのキスしょっぱいよ」って彼女が微かに微笑んだ。

「そんなことないよ」

否定しながらも、美鈴の頬の上に俺の涙が零れ落ちる。

「カズ、お願いだから泣かないで。あたしは幸せだから。
あなたの腕の中で死ねる。それだけで幸せだから。
ごめんね。最後まで我がまま言って」

「我がままなんかじゃないよ」

「もうひとつ我がまま言っていい?」

「何?」

「もう一度だけ、あたしの血を吸って」

「・・・分かった、後でね。今はもう少しだけお前を抱かせてて」

「うん。約束だよ」

きっと俺がここ数日、美鈴の血を吸っていないことを気にかけていたのだろう。

最後まで俺のことを思う彼女の優しさが胸に痛い。

「カズ、ごめんね。あなたの事悲しませて。
ずっとそばにいてあげられなくて、ごめんね」

「何でお前が謝るんだよ。謝るのは俺の方なのに・・・。
俺がお前を愛さなければ、お前はもっと生きられた筈なのに。ごめんな。美鈴」

「カズ、愛してるよ。
そしてまた生まれ変わってもカズを愛するって誓うよ。
だからあたしを待っててね。
きっと、きっとカズの所に帰ってくるから」

「あぁ、俺もきっとお前を見つけ出すよ。
何処にいても、どんな名前になっていても、きっと「すず」を見つけるよ」

「・・・うん。やくそく・・・ね」

美鈴がそっと差し出した小指に俺の小指を絡めると、彼女の手が力尽きてベッドに沈んだ。

「美鈴?・・・美鈴? 
目を開けてくれよ。美鈴!!!」

力なく横たわる彼女の体を強く抱きしめ、俺は何度も彼女の名前を叫んだ。

けれどそのまま美鈴が目を覚ます事はなく、彼女は俺の腕の中で永い眠りに就いた。

本当にこれでよかったのだろうか。本当に彼女は幸せだったのだろうか。

俺は涙を拭う事も出来ず、出る訳もない答えを探した。

段々と冷たくなっていく美鈴の体を抱きしめ、俺は最後の約束を果たそうと彼女の首に唇を押し当てた。

これで俺も楽になれる。やっと、彼女と同じ世界に行ける。

俺たち吸血鬼は血を吸わなければ生きていけない。

自殺しようと血を吸う事を拒んだとしても、体がそれを拒絶し理性を失って貪るように血を求める。

俺たちが自ら命を絶てるたった一つの方法は、心から愛する人の亡骸の血を吸う事。

だから俺はあえて美鈴と約束を交わしたのだ。

彼女と一緒に永遠の眠りにつく為に。

本当はすずを失った時に、こうすれば良かったんだ。

唇が触れた彼女の肌も、喉を過ぎていく血ももう熱を持たない。

いつもより少ししょっぱい味のする美鈴の血を飲み干すと、俺は彼女と体を重ね合わせて目を閉じた。

これで命を失えば、俺が心から彼女を愛していた証になる。




ねぇ すず、お前は俺に永遠の愛なんて望めないと言ったね。

だけど、俺にとってお前への愛は永遠だったよ。

俺が生きてきた300年と云う時の中で、本当に愛したのは「すず(美鈴)」お前だけだった。

そしてきっとこれからもお前だけだよ。

次この世に生を受ける時は、絶対に人間に生まれ変わってお前を探し出して見せるから。

その時は俺の人生の全ての時間を捧げてお前を愛するよ。



体の奥が燃えるように熱く苦しいけれど、俺の心は穏やかで少しの後悔も感じていなかった。

今はただ愛する人をこの手に抱きしめて、深い深い眠りに就きたい。




ねぇ すず、今度こそきっとお前を幸せにするからね。



おわり




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感想をぜひ聞かせてください。

読んでくれてありがとう。

続編「果たされた約束」も良かったら読んでみてね!

果たされた約束 (1話)
今の俺の悩みの種。それはここ最近頻繁に見る夢。

顔も知らない誰かが夢の中に出てきては、何度も何度も俺の名前を呼ぶ。

その声は優しく、愛おしささえ感じるのに、何故か俺の胸を切なくさせる。

目覚めた時、涙を流している事さえもあるのは何故だろう。

声に出して呟くと会いたいと云う思いが込み上げてくる、その人の名は「すず」

夢の中の俺は、その名前を泣きながら叫んでいる。

彼女を抱きしめ、狂いそうな程声を張り上げながら・・・。

幼い頃から何度も見てきた夢。

だけどその間隔は次第に短くなり、今ではほぼ毎日だ。

この夢は俺に何かを伝えたいのかもしれない。

何の根拠もないけれど、俺にはそう思えて仕方がない。

だけどどうすればその答えが見つかるのか分からない。

俺は一体何をすればいいのだろう。




高校に入って2カ月。満員電車に揺られウンザリするような毎朝。

睡眠不足の今の俺には地獄に近いものがある。

その上今朝は、何故か頭の中がスッキリしない。

【寝不足のせいかなぁ・・・なんか変な声聞こえんだけど】

こめかみに手をやりモヤモヤとする頭を軽く左右に振ると、眩暈を起こしそうになって足元がふら付いた。

【やべぇ・・・マジ寝不足】

立ち止まって駅の壁に寄り掛かかっていると、暫くしてクラスメイトの聖が声を掛けてきた。

「亀 おはよう。お前朝から顔色悪いけど大丈夫か?」

「あぁ ちょっと眩暈がしただけ」

「昨日も例の夢みたのか?また眠れなかったんだろ?」

心配顔で問いかけてくる聖に「大丈夫」俺はそう返事をして、壁から体を起してゆっくりと歩き出した。

「お前さぁ・・・空耳ってある?」

隣を歩く聖に話しかけると「空耳?まぁ なくもないかな」そんな返事が返って来た。

「何、変な夢の次は空耳か? お前ホントに大丈夫かよ」

「空耳って程の事じゃないんだけど、何か声が聞こえる気がするんだよな」

「どんな?」

「それが良くわかんねぇんだよ」

「なんだそれっ」

呆れた顔で俺を見る聖に苦笑いを返すと「あっそう言えば、この前会った女の子達に、お前の連絡先聞かれたんだけどどうする?」顔色を伺うように聞かれた。

「教えなくていい。お前らがどうしても来いって言ったから行っただけだし興味ない」

「何で、超可愛い子たちだったじゃん」

「そうかもしんねぇけど・・・」

「お前さぁ彼女作る気ねえの?って言うか、誰か好きになった事あんの?」

「好きな人はいる・・・様な気がする」

「は? 何それ」

「自分でも良くわかんねぇけど、ずっと誰かがココ(心)にいるような気がすんだよ」

「お前が言ってる意味がわかんねぇよ」

「・・・・・・・うん。俺もわかんねぇ」

自分でも上手く説明出来ない。だけど物心付いた時から、ずっとそうだった。

可愛い子から告白されても、憧れる人は出来ても、絶対に揺るがない気持ちが俺の中にはある。

ただそれが誰に対してなのかが分からない。と云うか、思い出せないだけなんだ。

【やっぱ、あの夢に関係あんのかなぁ?】

そんな事が頭を過った時【もうすぐ会いに行くよ】今度ははっきりとした声が、頭の中で聞こえた。

「えっ何?」

驚き立ち止まると「お前急になんだよ」聖が怒りながら問いかけて来た。

「えっ?あ、ごめん」

彼に謝りながら一歩前に踏み出すと、ドンッと勢いよく女の子とぶつかった。

その拍子に彼女は足元がよろけ、俺は咄嗟に腕を掴んでそれを支え「ごめん。大丈夫?」掴んだ腕の主の顔を見ながら声を掛けた。

「私こそすみません。よそ見をしてて」

頭を下げた彼女が顔を上げ互いの視線が合った瞬間、俺の心臓が一瞬時を刻む事を忘れた。

【すず】

またハッキリとした声が聞こえた。




つづく・・・


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写真ブログ 「月のkurageが恋した空」 こんなのやってます。




果たされた約束 (2話)
視線がぶつかったままお互い言葉を失っていると「お前は何やってんだよ」そう言って彼女の頭をポンッと叩いて優しく微笑みかける男が現れた。

胸の奥がズキンと痛む。

その間も俺の頭の中では【すず?すず?】と彼女に呼びかけるような声が聞こえる。

掴んでいた彼女の腕を離し「こっちこそ、ごめん」ともう一度謝ると、その女の子が「あの・・・」何かを言いかけた。

だけどそれを拒み「ほらっ早く行かないと学校遅れるぞ」男は彼女の腕を掴んで強引に歩き始め、後ろを何度も振り向き何か言いたそうな表情の彼女を俺は呆然と見送った。

「おいっ!亀?亀?」

聖の声に驚いて振り向くと「早く行かないと俺たちも遅れるぞ」そう言われ、先に歩き出した彼の後を俺も歩き出す。

【彼氏・・・かな?やっぱ、そうだよな】

溜息をつくと胸の奥の痛みが増し、俺はどうしようもない苛立ちに包まれた。

気が付くと一日中名前も分からない彼女のことばかり考えている。

一緒にいた男が恋人なのか、彼女の名前は「すず」なのか。

俺の夢の中に出てきた相手は彼女なのか・・・。

そして何よりも、彼女は俺に何を言おうとしたのだろうか。

この胸の奥で感じている痛み、せつなさ、そして愛おしさは何なんだろう。

あの時、直ぐにでも抱きしめたいような衝動に駆られたのは何だったんだろう。

「亀梨!亀!か~め!?」

頭の上から聞こえる声に顔を上げると聖が「お前朝から変じゃね?」と俺を見下ろしながら問いかけてきて「あれ?HRは?」聞き返す俺に「もう終わった」そう言って苦笑いを見せた。

「お前今日ずっと上の空だろ!何を聞いても空返事ばっかりだしよ」

「そんな事・・・ねぇよ」

「ある!」強く言われると否定できない。

「ごめんっ」

ポツリと謝ると「お前が変なのは朝言ってた空耳が関係あるのか?」心配顔で問いかけて来る聖。

「そう言えば、あの後声聞こえなくなったな。どうしてだろ?」

首を傾げる俺を見て「あの後って?」彼も一緒に首を傾げた。

「あのさぁ・・・お前一目惚れってした事あるか?」

「一目惚れ?そんなの毎日」ニカッと笑いふざけて答える聖。

「・・・・・お前に聞いたのが間違ってた」

「ちょ、ちょっと・・・冗談だって!
何、お前一目惚れしたの?今朝のあの子に?」

「いや、そういう訳じゃなくて。ちょっと聞いてみただけだよ」

鞄を手にして椅子から立ち上がると「お前、ちゃんと話せよ」文句を言いながら付いてくる聖に「聞いただけだって言っただろ」そう言って俺は教室を出た。

一目惚れ・・・そう言われたらそうなのかもしれない。

だけど何かが違うんだ。

今日始めて会ったのは間違いないのに、どこか懐かしいような、探していた人にやっと出会えたような、失くした宝物を見つけたような・・・そんな気持ちなんだ。

だけど、この気持ちを友達に言っても分かってもらえる訳がない。

俺だってわからないのに。

結局は一目惚れした・・・って事なのかなぁ?





そしてその日の夜、俺はまたあの夢を見た。

夢の中の「すず」と言う女の子は俺のことを「カズ」と呼び、俺は彼女の膝枕でうたた寝をしている。

優しく髪を撫でられ、愛おしいその声で何度も俺の名前を呼ぶすず。

だけど夢の中の俺は幸せな時間の中で彼女への愛を確認しながらも、言いようのない不安と絶望を感じていた。

この矛盾した思いは何なんだろう。

それに、この感情にどこか覚えがあるような気がするのは何故だろう。




つづく・・・


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果たされた約束 (3話)
次の日の朝、俺は説明出来ないこの感情が何なのかどうしても知りたくなり、駅で彼女が現れるのを待つことにした。

しかし昨日と同じ時間になっても彼女が現れることはなく「来ないもんはしょうがねぇだろ」俺の肩を叩いて慰める聖に溜息で返事を返した。

「それに会って何て声掛けんだよ。一緒にいたの彼氏だろ?
またそいつが一緒だったらどうすんだよ」

そんな事言われなくても分かってる。

だけど、どうしても確かめたい。

いや、確かめなきゃいけない気がするんだ。

彼女に会えばその答えが見つかる。そんな気がして仕方がないんだ。

その後学校が始まる時間になると、俺は後ろ髪を引かれる思いでその場所を離れた。

しかしどうしても諦めることが出来ない俺は一人次の日も、その次の日も彼女が現れるのを同じ時間、同じ場所で待った。

だが結局その週の内に彼女に会うことは出来ず、教室で落ち込んでいる俺を見て聖は呆れ顔で「お前が女の事で必死になってんの初めてだな」と零すように呟いた。

「そんなに好きなのかよ」

「そう云うんじゃないんだ」

「じゃあ、なんだよ」

「上手く言えねぇけど、どうしても彼女に会わなきゃいけないんだ」

「なんで?」

「・・・分からない。だけど、そうなんだ」

「最近のお前の言動、ホントおかしいぞ!」

そんなの自分が一番分かってる。

意味不明な事を言ってる事も、何でこんなに彼女に会いたいのかも、俺だって不思議でしょうがない。

だけど俺の中の誰かが「彼女を探せ!」と言って俺を突き動かすんだ。

理屈じゃない。俺はもう一度彼女に会いたい。





月曜日の朝、早めの電車で学校に向かっていると、車内に事故の為電車が1時間程遅れるとのアナウンスが流れた。

「1時間? マジかよ」

どうしても諦める事の出来ない俺は、今日も彼女を駅で待つつもりでいたのに。

最寄り駅に着くと既に学校は始まっている時間。

俺は改札口を抜けると梅雨空を見上げ、今日何度目かの溜息を漏らせた。

【せめて何処の学校か分かれば探せるのに】

彼女に会った時の事を何度思い出しても、彼女が何処の学校の制服を着ていたのか思い出せない。

思い出せるのは掴んだ彼女の腕の柔らかさと、俺の頭の中に聞こえた彼女を呼ぶような声。

そして一緒にいた男が愛おしそうに彼女に微笑みかけた事だけ。

彼女を探すヒントになるような大事なことは何一つ覚えていないのだ。

【彼女を見つける事が出来なかったら、俺は本当に諦められるのかな?】

雨の中ゆっくりと学校に向かっていると「やっぱりお前も遅れたのか」そう言って聖が駆け寄ってきた。

「あぁ」

「って事は、今日も彼女には会えなかった訳だ」

溜息で返事を返すと「そんなに会いたいなら、意地でも探せよ。どうせ諦めきれねぇんだろ?」しょうがねぇなぁ・・・って表情で微笑む聖。

「なぁ 聖。あの子が着てた制服とか憶えてないか?」

「学校かぁ・・・あんま憶えてねぇな。これと言って特徴なかったし」

「だよな」

「あっ 制服じゃねぇけど、あの鞄どっかで見たことあるかも!サブバック」

「サブバック?」

「そうだ!この前合コンした女の子たちが通ってる高校だよ。
お前の連絡先教えてくれって言った、あの子が行ってる高校の鞄だ」

「マジで?」

「多分、間違いないと思う」

今は聖の記憶を信じるしかない。

彼女を探す手掛かりは、それしかないのだから。



その日の放課後、俺はすぐに彼女が通う高校がある駅に向かった。

改札口を抜けるとすでに聖が言っていた特徴と同じ鞄を持った生徒が下校を始めていて、俺はその中にあの女の子の姿を探しキョロキョロと辺りを見回した。




つづく・・・





果たされた約束 (4話)
壁際に立ち改札口を通り抜ける女の子達を必死に確認していると、「あ~!!!亀ちゃんだ」と言う甘ったるいような声で俺の名前を呼ぶ女の子達が現れた。

「え~っと・・・誰?」

「それマジで言ってんの?超ヒドくな~い?」

いかにもバカっぽい言葉使いと派手なメイク。

鼻にツンと来る強い香水の匂いで、俺は記憶の片隅にあった出来事を思い出した。

「あっ 聖が言ってた子か」

「えっ 聖くんが奈美の事何て言ってたの?」

「いや、別に・・・ってか、今人探してて忙しいんだよね」

「え~!!!亀ちゃん冷たい。連絡先教えてって言っても教えてくれないし。
奈美、アドレス教えてもらえなかったの初めてだったから、超ショックだったんだけど」

【くっそ、うるせぇな。お前らがいたら彼女見つけにくいんだよ】

舌打ちをして思い切り不機嫌な顔を見せた時、頭の中で【すず、すず】と彼女を呼ぶ声が聞こえ、キョロキョロと辺りを見回すと改札口を通り抜けるあの女の子を見つけた。

しかしその傍にはあの彼氏らしき男の姿も。

彼女が一人じゃなくても話しかけるつもりでいたのに、一瞬の躊躇いが俺の足を強張らせる。

その間も興味のない事を話しかけて、やたらと俺の体に触れてくる女の子達。

視線の先にはずっと会いたかった彼女がいるのに、どうして俺は何も出来ないのだろう。

段々と遠ざかっていく彼女の後姿。

「ちょっと!どこ見てるの?亀ちゃん」

バカ女が俺の視線を遮った瞬間、俺はあの女の子の元へと行こうとした。

しかし、俺の腕を掴んで「まだ話終わってな~ぃ」拗ねたような表情を見せるバカ女。

「ちょっ 離してくんね? 急ぐんだよ。馴れ馴れしくすんな!」

女の子たちを怒鳴りつけ、俺は彼女が向かったホームに続く階段を駆け上がった。

しかし階段を上りきったと同時に閉まる電車のドア。

ドア付近に立っていた彼女を見つけ駆け寄ると、キョロキョロと辺りを見回し俺に気付いた彼女が驚いたような表情をしながらドアに手をついた。

「すず!」

思わず彼女の名前を叫ぶ俺を置いて、動き出す電車。

スローモーションの映像を見ているように、ゆっくりと離れていく二人の距離。

見詰め合った視線は距離に邪魔されて、彼女はまた俺の視界からいなくなった。

「ちくしょぅ!」

直ぐに彼女を追うことが出来なかった自分への苛立ちをホームの柱にぶつけ、それと同時に何故「すず」と言う夢の中の女の子の名前を叫んだのか自分でも分からず戸惑った。

【あの子の名前が「すず」かどうかも分からないのに、俺は何をやってんだ】

でも、きっと彼女も何かを感じてる。

説明出来ない感情を抱えているのは、きっと俺だけじゃない。

俺を見つめた彼女の瞳がそう言ってる気がしたんだ。




次の日の朝、俺はいつもより1時間早く起きて彼女を待つ為に駅に向かった。

でも、今日俺が彼女を待つのはいつもの駅じゃない。

彼女の学校がある最寄り駅だ。

【この駅で待てば、きっと彼女に会える】

しかしそう思った俺の考えは覆され、また今日も彼女に会うことは出来なかった。

【どうすれば彼女に会えるんだ。何で彼女は現れないんだ】

1時間目の授業ギリギリで教室に滑り込み「お前、この時間まで彼女待ってたのかよ」呆れ顔で問いかけてくる聖に「彼女の高校がある駅で待ってた」俺は、溜息混じりにそう答えた。

「でも、会えなかったんだ?」

「でも俺は探すよ。昨日はもう少しの所で会えそうだったんだ。だから俺は諦めない」

「お前のその強い気持ちは何処から来んの?」

「何処からだろうな」

【そんなの俺が知りてぇよ】

心の中でそう呟いた時、「カズ」俺の名前を呼ぶ優しい声が聞こえた。




そして彼女を見つけられないまま訪れた金曜日の朝。

この3日間、俺は朝も放課後もあの駅で彼女が現れるのを待っていた。

しかし彼女の姿を見つけることは出来ず、今日も駄目なのかも知れないと思いながら改札口付近の壁にもたれ掛かっている。

【今から急いでも学校間に合わねぇな】

腕時計で時間を確認しもたれ掛かった体を起こした時、俺はホームの階段を一人下りてくる彼女の姿を見つけた。

【すず】

頭の中の声に背中を押されるように、彼女の元へ近づく。

彼女はキョロキョロと辺りを見回し、俺に気が付くと驚いた表情を見せながらゆっくりとこちらに向かって歩いてきた。

やっと彼女に会えたのに、それなのに何て声を掛けていいのか分からない。

見詰め合ったまま近づいていく互いの距離。

彼女の前で歩みを止めると「どうしてココにあなたがいるの?」そう問いかけられた。

だから俺は答えたんだ。

「もう一度、君に会いたかったから」



つづく・・・



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果たされた約束 (5話)
俺の言葉を聞いて戸惑いを見せる彼女。

そりゃそうだろう。俺自身が戸惑っているのだから。

言葉を交わした事もない相手からそんな事言われて、驚かない方がおかしい。

だけど彼女は少し頬を赤らめながら「あたしもあなたに会いたかったの。だから会いに行ったんだけど」そう呟いた。

「えっ 会いに行ったって?」

予想もしていなかった言葉に俺は驚いた。

彼女の話では普段は自転車で学校に通っていて、雨の日だけ電車で通学しているらしい。

【そう言われたら初めて会った日も雨が降っていた気がする】

それじゃあ俺が駅で彼女を待っていても会えない訳だ。

だけどどうしても俺の事が気になり、今週の月曜日駅で俺を待っていたと。

しかし事故の為に電車に遅れが出た月曜日に俺達が出会う事はなく、次の日からもずっと駅で俺を待っていたと彼女は俯きながら告げて来た。

俺が彼女をこの駅で待っていた時、彼女も俺を待っていたなんて。

これはもう、神様の悪戯としか思えない。

「ねぇ どうしてあなたはあたしの名前を知っているの?
あの時、すずってあたしの名前呼んだよね?」

顔を上げ俺を真っ直ぐ見詰める彼女の瞳が、切ない程に眩しい。

「分からない。咄嗟にそう叫んでたんだ」

「じゃあ、あなたの名前はカズ?」

「どう・・して・・・」

驚きを通り越して言葉にならない。

「あたしの名前は鈴音。あなたの名前はなに?」

「俺は和也。亀梨和也」

「本当にあなたはカズだったんだ」

彼女の言葉が俺の思いとシンクロする。

それに夢の中で聞いていた俺の名前を呼ぶ声は、間違いなく彼女の声だ。

一体どうなっているんだろう。

お互い言葉を失ったまま見詰め合っていると、仕事を急ぐサラリーマンが俺の肩にぶつかって通り過ぎて行き、我に返った俺は慌てて腕時計で時間を確認した。

「あっ 学校!」

【もう始まってる。だけどもっと彼女と話したい。一緒にいたい】

そう思いながらも「時間大丈夫?・・・じゃないよね」と彼女に告げる。

でも彼女は「うん」と小さく頷いたまま、焦った様子もなくその場を離れようとしない。

だから俺は素直に思いを口にしたんだ。

「もう少し話せないかな?もっと君の事が知りたい」

すると彼女は顔を上げ「ぅん!」可愛く微笑んで頷いた。

もしかしたら彼女も同じ思いだったのかもしれない。



俺たちは学校へは向かわず、駅前のファミレスで話をすることにした。

店に入ると男性店員に窓際の席に案内され「すみません。窓際はちょっと・・・」俺が苦笑いをしながら奥の席を指差すと、制服の俺達をジロジロと見て「お好きな席にどうぞ!」ちょっと感じ悪く答えられた。

店の一番奥の目立たない席に鞄を置きドリンクバーだけを注文して、俺はカップにホットコーヒーを注いだ。

それを見て「お砂糖とミルクは?」そう問いかけてくる彼女。

「要らない。ブラックだから」

本当は砂糖もミルクも入れたいけど、ちょっとカッコつけてしまう俺。

彼女はアイスティーを持って席に戻るとグラスにミルクとガムシロをたっぷりと注ぎながら「ブラック飲めるんだ。凄いね」って呟いた。

「そう?」

カッコつけている事を悟られないようにしながらコーヒーを口に運ぶと、思った以上に苦くて顔をしかめそうになった。

【うわぁ 苦げぇ】

その瞬間、俺は砂糖とミルクを入れなかった事を思いっきり後悔した。

「あのね」

彼女がストローでミルクティーを掻き回しながら問いかけてくる。

「あなたに会うの初めてだよね?前に会ったことある?」

「いや、たぶん初めてだと思う」

「そうだよね。でもね、不思議な感覚なの。
ずっと前からあなたを知ってるような、あなたを探してたような・・・そんな感覚なの」

「俺もそんな風に感じてた。すずに初めて会った時に、この子だって思った。
あっ ごめん。すずって呼んで」

「ううん。すずでいいよ。ずっとあなたにはすずって呼ばれてたし」

「え?」

「変な子だって思わないでね。小さな頃から、ずっと同じ夢を見てたの。
あたしの事をすずって呼ぶカズって名前の男の子の夢を。
ねぇ カズはあなただよね?」

まさか彼女も俺と同じ夢を見ていたなんて。

彼女と出会ったのは偶然なんかじゃない。

運命の出会い・・・そんな大げさな事じゃないかもしれない。

だけど必然の出会いだっと今なら確信出来る。



つづく・・・



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果たされた約束 (6話)
「あのさぁ ひとつ聞いていい?」

「なあに?」

小さく首を傾げて俺を見つめるすず。

その表情が余りにも可愛くて、俺は一瞬何を聞こうとしたのか忘れそうになった。

「えっと、・・・・あっ いつも一緒にいる男の人って誰?」

「雄ちゃんの事かな? 雄ちゃんは幼馴染のお兄ちゃんだよ。
それがどうかしたの?」

「すずは、その・・・ゆうちゃん?ってヤツの事どう思ってんの?」

俺の質問に頭の上に疑問符を浮かべるすず。

「どうって?」

「だから、好きとか・・・」

「うん。好きだよ。優しいし、本当のお兄ちゃんみたい」

【好きってどう言う意味だ?】

心臓がバクバクする。

「それは特別な意味?」

「特別? 男の人としてって事?」

俺は小さく頷いた。

「それはない。雄ちゃんと10年以上一緒にいるけど、そんな風に思ったことないし。
友達にも良く聞かれるけど、そんな風に見えるのかな?」

「いや、すずを見掛けた時はいつも一緒だったから、彼氏なのかなぁ・・・って思ってた」

「彼氏いたら、あなたの事こんな風に探さないよ」

顔を赤らめ小さな声で恥ずかしそうに呟くすず。

彼女の言葉を聴いてホッとはしたけれど、彼のすずを見つめる優しい眼差しには意味があるような気がする。

この時ばかりは自分の感が外れることを俺は願った。

「亀梨くんは、彼女いないの?」

「俺?いたらすずの事探さないでしょ!」

見詰め合ったまま二人クスッと笑い合い、彼女はずっと掻き回していたアイスティーに口をつけた。

ストローに触れた唇がぷっくりとしていて艶やかで、触れてしまいたい衝動に駆られてしまう俺。

咄嗟に彼女から視線を逸らし、少し冷めたコーヒーを口にして忘れていた苦味に驚き一人苦笑いをした。

二人で話していると、今日初めて言葉を交わしたとは思えない程直ぐにお互い打ち解け合い、気が付けばすずも俺のことを「カズ」と呼ぶようになっていた。

その言葉の響きが心地よく、もっと呼んで欲しいとさえ思ってしまう。

優しく囁く様なすずの声。

少しくすぐったさを覚えるようなその声が、俺の心を甘くさせる。

結局俺たちは出会うまでの時間を埋めるように、何時間も二人で話し込んだ。

気が付けば学校も終わり、外は薄暗くなり始めている。

すずの家の最寄り駅、つまり俺の学校がある駅まで電車で一駅。

彼女を送って行く途中の満員電車の車内でも、俺達の会話が止まることはなかった。

「ごめん。結局学校サボらせちゃったな」

「ううん。カズのせいじゃないよ」

「俺が引き止めたからだし」

「そんな事ない。あたしがカズと話したかったからだもん」

ハッキリと思いを言葉にして伝えたわけではないけれど、互いに感じる相手の思い。

俺を見上げて恥ずかしそうに微笑む彼女を、今すぐ抱きしめてしまいたい。

その時急カーブに差し掛かり、ガタンと電車が揺れてすずが俺に寄り掛かってきた。

「ごめんねっ!」

謝る彼女を俺はそっと抱き寄せる。

ちょっと驚いた様子のすず。

だけど黙って俺に寄りかかったまま、彼女は嫌がる素振りを見せない。

満員電車で良かったと思ったのは初めてだ。

自分の腕の中で感じる温もりが懐かしいと感じるのは何故だろう。

どうしてこんなにも彼女の事が愛しいのだろう。




最寄り駅から彼女の家までの道。

少しでも長く一緒にいられるように、俺たちはゆっくりと歩きながら帰った。

もちろん彼女と手を繋いで。

「月曜日も会えるかな?」

俺がそう問いかけると「うん!」すずは嬉しそうに大きく頷いた。

「いつどこで待ち合わせる?」

「授業何時間?」

そんな会話をしていると彼女の家の前に到着。

「もう着いちゃった」

彼女が残念そうに呟いた時、すずの家の玄関ドアが開きあの雄ちゃんと云う幼馴染が飛び出して来た。

「鈴音!」

彼女に駆け寄り心配顔で「お前今日学校来なかっただろ!何やってたんだよ」怒り気味に問いかける彼。

そして咄嗟に繋がれた手を離し「心配掛けてごめんなさい」と彼女は直ぐに謝った。

「お前が鈴音を連れ回したのか?」

俺を睨み付ける彼に「違う。彼は送ってくれただけ」彼女はそう云うと慌てて家の中に入ろうとした。

その様子に不安を感じる俺。

【俺との事知られたくないのかな? マズイ事あんのかな?】

だけど彼女は帰ろうとする俺を呼び止めて「カズ、月曜日ね。帰ったら絶対にメールしてね」と微笑みながら手を振った。

その様子を見て、益々俺を睨み付ける幼馴染。

どうやら俺の感は間違ってなかったらしい。



つづく・・・



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果たされた約束 (7話)
その日の夜、俺は月曜日の待ち合わせ場所を決める為に彼女にメールを送った。

しかし待ち合わせ場所が決まっても俺達のメールが途切れる事はなく、結局部屋の電気を消したのは0時を2時間ほど過ぎた頃だった。

幸せな気持ちで眠りに就くと、直ぐに俺はいつもの夢を見始めた。

だけどその夢は今までと少し違っていて、俺にギュッと抱きついてくる彼女の名前を呼ぶと、すずは顔を上げ嬉しそうに微笑んだ。

「カ~ズ!」

零れそうな笑顔を見せたのは、間違いなく鈴音だ。

そっと瞳を閉じてキスをせがむすずの唇に、俺は小さなキスを落とした。

物足りないって顔を見せる彼女の唇が艶を持ち、俺は引き寄せられるようにまた唇を重ねる。

何度も繰り返す優しいキスが少しずつ熱を持ち始めると、俺はすずの首に顔を埋めてゆっくりと味わうように舌を這わせた。

甘い吐息を漏らせ、可愛い声で俺の名前を呼ぶすず。

彼女の指が俺の頬に触れた瞬間、俺はハッと目を覚まして飛び起きた。

「夢?」

自分に呆れ頭を抱えながらベッドに寝転がり、彼女の肌の感触が残っているような気がしてそっと唇に触れてみる。

【そりゃ、キスしたいなぁ・・・と一瞬思ったけど、こんな夢みるか?
キスなんてしたことないのに、何で感触なんてわかんだよ。
なんか俺、欲求不満みてぇじゃんか!】

俺は恥ずかしい様な、情けない様な気持になりながらも、夢の途中で目が覚めた事をちょっと残念に思ったりもした。

【すずは今、どんな夢を見てるのかなぁ】




月曜日の朝、俺はいつもより30分早く家を出てすずと待ち合わせている駅に向かった。

俺の学校とすずの家があるこの駅が俺達の待ち合わせ場所。

改札口を抜けた先、タクシー乗り場が傍にある小さな広場で待っていると、暫くして彼女がやって来た。

俺を見つけて慌てて駆け寄って来るすず。

「カズ、おはよぅ」

「おはよう。別にそんな走らなくていいのに」

「だって、嬉しかったんだもん」

ストレートな彼女の言葉に笑みが零れる。

「何分ぐらい一緒にいれる?」

「10分の電車に乗れば間に合うから、25分くらいかな」

「今度はちゃんと時計見とかないとな」

俺がそう言うと彼女はクスリと笑って「そうだね」って呟いた。

多くの人が行き交う駅の片隅で、俺達は互いの思いを確認するように言葉を交わしていた。

「あのね、またカズの夢見たよ」

「どんな夢だった?」

「・・・言わない」

顔を赤らめながらも嬉しそうに微笑むすず。

【もしかしたら、彼女も同じ夢見てたのかな?】

「俺も見たよ。すずの夢」

「どんなの?」

「ん?言わない」

「もう、何それ」

ちょっとふくれっ面の彼女が、一段と可愛い。

そしてすずと話し始めて10分くらい過ぎた頃、俺達の近くに自転車が止まり「鈴音、お前は何やってんだよ」と少し苛立ったような声で話しかけてくる奴がいた。

金曜日に会った、すずの幼馴染だ。

すると彼を確認したかと思うと、すずはプイっと余所を向いた。

「何で先に一人が出掛けたんだよ。先に行くのは先週だけだって約束だったろ?」

「もう雄ちゃんとは一緒に学校行かない。毎日電車で通うからほっといて」

すずは彼の顔も見ようとはしない。

「すず、無理してるんだったら俺はいいよ。放課後も会えるんだし・・・」

俺がそう言うと「無理なんてしてない。カズは会いたくない?」彼女は不安そうに俺を見詰めて来た。

「そうじゃないよ。ただ・・・」

「それに雄ちゃん何て嫌い。パパに言い付けたりして。
雄ちゃんのせいで、パパに怒られたんだからね」

「それはお前が無断で学校休んだりするからだろ」

「わざわざ言わなくてもいいじゃない」

「言った訳じゃなくて、一緒に帰らなかったからバレたんだろ」

困った様子の彼の言葉で、今まで二人がどれだけ同じ時間を過ごして来たのかが分かり、俺は居た堪れない気持ちになった。

「兎に角これからは電車で行くから、雄ちゃんとは一緒に行かないから。
ほらっ早く行かないと雄ちゃんは自転車なんだから遅れるよ」

早く学校に行くように促す彼女に「今日はちゃんと学校来いよ」彼はそう言うと俺の顔をチラリと横目で見て自転車のペダルを踏み込んだ。

「やっぱり怒られたんだ?俺のせいでごめんな」

「カズのせいじゃないよ。嫌な思いさせてごめんね」

「別に嫌な思いなんて・・・。それより、いつも彼と登下校してるの?」

「学校同じだから、パパが一緒に行けって!
雄ちゃん、あたしよりパパに信用されてるからね。ホント嫌になっちゃう」

【って事は、俺はすずの父親からしたら最悪な奴って事か】

思わず溜息を漏らせると「あっ カズの事はパパにバレてないよ」すずはそう言って微笑んだ。

それはそれで彼女に申し訳ない気がした。



つづく・・・


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果たされた約束 (8話)
「あっ そろそろ時間じゃね?」

腕時計で確認すると電車の時間まで後5分。

「うん。もう、行くね」

そう口にしながらも改札口に向かおうとはしないすず。

俺が「また後でね」と言うと「うん、またすぐね」と彼女は小さく呟いた。

それを見てちょっと不満そうな表情を見せるすずの頬に、俺は人差し指を押し当てる。

「何?」

「ぷにぷにして気持ち良さそうだったから、つい?」

「もう、カズのバカ!」

彼女はふくれっ面を見せると、改札口に向いて歩き出した。

やっぱり怒った顔したすずは可愛い。

「すず、放課後ここで待ってるから。絶対待ってるから」

改札を通り抜ける彼女の後姿に声を掛けると、すずは後ろを振り向き笑顔で「うん!」と頷いて小さく手を振りホームへと消えていった。

毎日彼女をここで探していたのが嘘みたいな幸せな朝。

ニヤケそうになる顔を必死で隠し歩き出すと、改札を抜けた先に怪訝な顔した聖が立っていた。

「おう、おはよう聖」

「今の何?」

「は?何が?」

「何がじゃねぇよ。何で彼女と一緒にいたんだよ。しかもイチャイチャしてた」

「イチャイチャって・・・。まぁ 色々あって」

「告ったのか?」

「まぁ そんな感じ」

「お前ふざけんなよ!金曜日学校休んだから、ショックで落ち込んでんのかと心配してたんだぞ」

「じゃあ電話くらいしろよ」

「・・・デートで忙しかった」

「そんな事だと思ったよ」

俺の言葉に苦笑いを浮かべながら「でも、良かったな」聖はぽつり呟いた。

「お前のおかげだよ。ありがとうな」

照れくさくて素っ気なくお礼を言うと、「おぅっ」聖も何だか照れたように小さく頷いて返事を返してきた。




そして待ちに待った放課後。

こんなにも放課後になるのが待ち遠しいと感じたのは初めてで、俺はHRが終わると急いで駅に向かった。

改札口前でソワソワしながら彼女を待っていると「亀 お前急いで帰ったのに、何でまだここに居んの?」ってクラスメイトが話しかけて来た。

「えっ まぁ、ちょっと人待ってて」

「なに何?お前彼女でも出来たの?」

興味深々で問いかけてくる友達に「まぁ・・・そんな感じ?」俺はちょっとだけ見栄を張って答えた。

【付き合って下さいって、ちゃんと言わないとな】

帰って行く友達に手を上げると、ホームに続く階段を駆け下りてくるすずの姿が目に入った。

「カズ!」笑顔で手を振る彼女に応えるように手を上げると、彼女の後ろの方で友達がニヤニヤと笑っている。

だから俺は思いっきり友達にピースサインをして見せた。

「えっ 何?」

驚いて後ろを振り向くすずに「友達がいたからピースしただけ」と答え「これからどうする?」と問いかけると「公園に行こう」と彼女は駅向こうを指差した。

「公園でいいの?」

「いいよ。カズはイヤ?」

「俺もいいよ。ってか、すずと一緒ならどこでもいい」

俺がそう言うと彼女は嬉しい様な照れくさい様な何とも言えない可愛い笑顔を見せながら「じゃあコンビニでアイス買って、公園に行こう」と言って、俺の手を握って来た。

駅前の大通りから一本中に入った所にある大きな公園。

その中にある木で造られたガゼボのベンチに俺達は腰を下ろして、買って来たアイスを二人並んで食べ始めた。

「すずは苺が好きなの?」

「うん。カズはバニラがいいの?」

「俺は結構甘いもの好きだから、何でも好き」

「あたしはこのシリーズが好き。中でも苺が一番」

カップのアイスをスプーンで掬いパクッと口に運んだすずの唇に、苺のアイスがちょっとだけ付いている事に気がついた俺は「それ俺も味見していい?」と問いかけ「うん。いいよ」と言ってカップを差し出す彼女の唇にキスをした。

びっくりして俺の顔を見詰めるすずに「アイス付いてから味見した。ってか急にごめん」と謝ると俺は手にしているアイスを口に運んだ。

小さく首を横に振るすずの顔は真っ赤で、ドキドキを隠せないでいる。

でも正直、ドキドキしているのは俺の方。

だって、まさか自分がこんな行動に出るなんて思ってもみなかったから。



つづく・・・



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ホントに読めないんです。ごめんなさい。

諸事情で隠しコメントは受け付けていませんし、コメレスもしていません。

ごめんなさい


ひらり
プロフィール

   hirari

Author:   hirari
中1の男の子、小3の女の子の母です。

亀ちゃんが好きすぎて息子に呆れられ、旦那に「うざい」と言われたちょっとアホな30代です。

仁亀萌えしておりまして、腐った発言多々あります(笑)。

今後もKAT-TUNと仁、両方を応援していきますのでよろしく!



ひと恋の弘人で亀堕しました。

めっちゃ長い「ひと恋」感想、小説「さがしもの ~弘人と菜緒~」など書いてますので、良かったら読んでやってくだパイ。


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