FC2ブログ

*All archives* |  *Admin*

2019/08
<<07  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  09>>
さがしもの 弘人と菜緒 ≪ 5話 ≫
菜緒の両親に逢ってから、弘人は悩んでいた。

今の造船の仕事が好きだ!でも、菜緒を諦めたくないし、出来るわけもない。

しかし会社を継ぐ程の自信もない・・・。

分かっているのは自分が何を守るべきで、人生を誰と歩んでいきたいのかという事だけだ。

後一歩を踏み出すことが出来ない弘人は、今の会社に入ってからずっと慕ってきた主任の原田に相談してみる事にした。

「原田さん 相談にのってもらいたい事があるんですが・・・」

弘人がそう言うと原田は「神崎が相談なんて珍しいな。わかった。今日飲みに行くか?」そう言って手でお酒を飲むマネをし、弘人は申し訳なさそうに頷いた。

そして仕事が終わった二人は、原田行きつけのちょっと小汚い居酒屋に訪れカウンターに並んで腰を下ろした。

「今日はわざわざすみません」

小さく頭を下げる弘人に原田はグラスを手渡しながら「いや、俺は嬉しいよ。お前に相談されて・・・」と優しい笑みを漏らせた。

原田のグラスにビールを注ぎながら話し始める弘人。

「実は付き合ってる彼女といずれ結婚したいと思ってるんですが、先日彼女の両親に挨拶に行って父親の会社に就職して行く行くは会社を継いで欲しい。それが結婚の条件だと言われたんです。
正直今の仕事が好きだし、親父のやってた仕事だから止めたくないって気持ちもあるし、会社を継げって言われても、そんな自信もないし・・・。
それにいずれ会社を継ぐってことはあっちの籍に入るってことだと思うんです。
でも俺は母や弟を守っていかなきゃいけないとも思ってるんです」

「それで悩んで俺に相談したってことか・・・」

「はい」弘人は小さく頷いた。

「お前はどうしたいんだ? お前にとって一番大事物はなんだ?
仕事か?彼女か?仕事なんてなんでも良いじゃないか。
お前が結婚したいと思うほど惚れた人だろ。
それなら絶対に手放しちゃダメだ。
お前の仕事ぶりは俺も認めてる。
だからお前が仕事をやめるのは正直もったいないと思う。
でもお前の仕事ぶりを見て来たからこそ、お前なら大丈夫だって思うぞ。
お前はいつも人の幸せばかり考えてきた。
今度は自分の幸せを一番に考えて良いときなんじゃないか?
おふくろさんや弟のことはどうにでもなるよ。
まずはお前が幸せになれ 神崎!」

原田は弘人の肩を優しく叩き、グラスに注がれたビールをグイッと一気に飲み干した。

弘人の胸に父親に対する思いにも似た感情が顔を出す。

もし親父が生きていたら、こんな風に言ってくれたのかなぁ・・・

「おふくろさんには相談したのか?」

「いいえ、まだ」

「ちゃんとおふくろさんと話せ。きっとおふくろさんも分かってくれるよ」

「母ちゃんはきっと反対しません。昔彼女と別れた時の原因が自分にあると思っているんで、今俺達が付き合っていることを喜んでくれてるんです」

「じゃあ問題はないじゃないか。覚悟を決めて前に進め!男だろ」

そう言って原田は弘人の背中を力強くバシッと叩き、原田の言葉で弘人は会社を辞める覚悟を決めた。

もう後には引き返せない。

きっと菜緒の父親に認めてもらえる男になって彼女を幸せにすると心に誓った。

その日の夜、弘人は母親に自分の素直な気持ち、そしてこれからの事を話した。

母親も息子が菜緒の両親に逢いに行ってから悩んでいることを心配していたが「反対されたのかい?」そう息子に問い掛けても「そんな事ない」「前向きに考えてくれるっていってくれたよ」と息子は作り笑いをして答えるのだった。

弘人が言わないのなら、無理に聞くのは辞めよう。

全て弘人が決めることだから、あたしはそれを受け入れればいい。

もうこの子の幸せの邪魔はしたくない。

そう思っていた母親は、自分の幸せに向いて歩き出した息子の決意を誇らしく感じた。



その週末、弘人は自分の決意を伝えるために、横須賀の彼女の部屋を訪れた。

自分の父親が出した条件に悩んでいる彼の事を心配しながらも、自分からは何も言うことが出来なかった菜緒。

弘人と別れたあの日「全てを捨ててよ」と言って彼を傷つけた事。

それが彼女の心に暗い影を落としていたのは言うまでもない。

もう二度と彼を傷つけたくはない。

弘人は彼女の手を握り締めながら、ゆっくりと話し始めた。

「俺決めたよ 会社来月辞めることにした。
菜緒の親父さんの会社で働くよ。
俺に何が出来るかとか、どこまで出来るかとか分からないけど、前に進むって決めたから菜緒は何も心配しなくていいよ。
ただこれからも、母や弟のことは守ってい。それだけは変えられないけど」

「わかってる。でも弘人、今の仕事好きなんだよね?」

菜緒がそう問い掛けると「今は菜緒との未来だけ見て進みたいんだ」弘人は優しく彼女を抱きしめた。

「ホントにいいの?迷いはない?」

「ないよ」

そう言って弘人は彼女を抱きしめる手にギュッと力を入れ「ごめんね」菜緒も彼をそっと抱きしめた。


つづく・・・

スポンサーサイト



コメントは承認制です
内容によっては削除する事、承認しないこともありますのでご了承ください。
隠しコメントは受け付けていません。
Secret
(非公開コメント受付不可)

  • みるみる
  • 辞めちゃうの?
    原田さん…今も弘人を暖かく見守ってくれて有難いわ。でも、私はお父さんの意思を継いで造船所で働く弘人が大好きなんです。
    弘人は手先が器用だしジュエリ-デザインの才能もあるし向いてるとは思うんだけど…やっぱりス-ツより汗を流して汚れた作業着を着て働いている弘人がいとおしくて。涙腺が弱いのでその姿だけで訳もなく泣いてしまうの…相変わらず去年から病気は治らないわ(苦笑)今後どうなるのか…楽しみです
  • みるみるちゃんへ
  • あたしも弘人の作業着姿大好きだよ~
    でもね あたしの中で
    菜緒の父親が出した条件と
    弘人が菜緒と結婚したいって気持ち
    後、母と弟を守って行きたいって気持ちは変えられないって思ったの
    そしたら、コレしか結論が出なかったんだ
    今の弘人なら、菜緒と母、弟以外は捨てられる気がしたの

    みるみるちゃん 病気してたの?大丈夫?
  • yukarin
  • NoTitle
    こんんちは!第四話、話がうごきましたね。一番大事なものを守るために、何かを捨てるってことは、大人になって行く上で誰しも経験することだと思います。それをプラス方向にできるかどうかですよね。若いのにいろんなものをしょって、健気に生きてる弘人、切なくて胸がきゅんきゅんします。
    私が弘人堕ちしたのもこの辺なんだよな~。
    続きめっちゃ楽しみにしてます!!
    あと、1ポンドの福音もめちゃめちゃ楽しみですよね。私たつ恋のときは、まだ亀落ちしてなかったので、冷静にドラマを楽しめたんですが(結果的には、完全に堕ちました-爆ー)、こんどは、うれしい反面、視聴率とかいらん心配しそうで、なんか複雑です。母のような気持ち?激痩せとかしなければいいけど。
    ここにも、いろんなもの背負って頑張る亀ちゃんに、胸がきゅんきゅんの痛い40台です。がんばれ~って祈るのみですね。
  • yukarinちゃんへ
  • 何を捨てて、何を守るかって選択が大人になるときに
    必要なのかもしれないですね
    切ない表情の弘人 いいよねぇ 大好物です(笑)

    主役をするとどうしても視聴率のことを言われるのが
    心配ですよね
    でも、視聴率関係なく、いいドラマってたくさんあるんだけどなぁ・・・
    亀ちゃんに変なプレッシャーがかからず
    楽しくやってくれるといいよね
    やせすぎの亀ちゃんは痛々しいから
    もう見たくないわ^_^;
  • さちかめ
  • う゛ぉ~
    原田さ~ん(T_T)

    そうだよね!!

    いつも人の幸せばっかり考えてきたんだもんね!
    自分がどうしたいか!?
    だよね!!

    弘人に原田さんが付いていてくれて本当に良かったよ(泣)


    お父さんが生きてたら...
  • runa
  • runa
    まっすぐな弘人いいですね!!
    この状況で菜緒の事を気遣って、何も心配しなくて良いって言ってくれたのが、覚悟がはっきり決まったのが伺えて頼もしく思いました!!
    コメントに関するお願い
    コメントは承認制になっておりますので、承認後に掲載になります。
    内容によっては承認しない。削除する事もありますのでご了承ください。

    初めてコメントされる方は、必ず簡単な自己紹介と「はじめて」だと言うことをお知らせください。
    申し訳ないのですが、分からないこともあるので。

    あとギャル文字は解読不可能なのでご遠慮いただきたいです。
    ホントに読めないんです。ごめんなさい。

    諸事情で隠しコメントは受け付けていませんし、コメレスもしていません。

    ごめんなさい


    ひらり
    プロフィール

       hirari

    Author:   hirari
    中1の男の子、小3の女の子の母です。

    亀ちゃんが好きすぎて息子に呆れられ、旦那に「うざい」と言われたちょっとアホな30代です。

    仁亀萌えしておりまして、腐った発言多々あります(笑)。

    今後もKAT-TUNと仁、両方を応援していきますのでよろしく!



    ひと恋の弘人で亀堕しました。

    めっちゃ長い「ひと恋」感想、小説「さがしもの ~弘人と菜緒~」など書いてますので、良かったら読んでやってくだパイ。


    ** メルマガ発行中 **


      
    ジャニーズブログランキング


    ポチッとよろしく! (^_-)-☆

    最近のコメント
    カレンダー
    07 | 2019/08 | 09
    - - - - 1 2 3
    4 5 6 7 8 9 10
    11 12 13 14 15 16 17
    18 19 20 21 22 23 24
    25 26 27 28 29 30 31
    H19.4.29に始めました
    カテゴリー一覧表
    遊びに来た人
    訪問してくれてありがとう
    遊びに来てる人
    現在の閲覧者数:
    こんなのやってます!
    お知らせ
    「LOST MY WAY」
    ~果たされた約束~

    魂での亀ソロを見て頭の中に浮かんで来たストーリーを小説にしてみました。

    切なくて甘いお話です。

    良かったら読んでみてください。


    -- E N D --
    .
    .
    オリジナル小説
    趣味で始めた小説
    まだまだ下手くそですが、少しづつ書き続けていくので良かったら読んでください。

    「さがしもの 弘人と菜緒」
    ≪ 全25話+特別編 ≫

    「あなたの笑顔 わたしの涙」
    ≪ 全58話+番外編 ≫

    「LOST MY WAY」
    ≪ 全34話 ≫

      携帯小説
    「声を聞かせて…Ⅰ、Ⅱ」 


     ≪携帯小説の感想はこちらに≫
    秘密の小部屋(裏小説)
    会員限定のお話しです。
    パスワードがないと閲覧できないよ!
     
      「秘密の小部屋入り口」

    ただいま新しい住人様の受付はお断りさせていただきます。
    詩の保管庫
    私が日々の生活の中で感じたり, 亀ちゃんの事を思ったりして, 書いた詩です

    ☆☆亀ちゃん☆☆
     「 幸せですか? 」
     「 夢の中で・・・ 」
     「 傷つかないでね 」
     「 私の隣・・・ 」
     「 きっと 」
     「 あなたの心 」
     「 言葉 」
     「 何もいらない 」
     「 遠い人 」
     「 寂しいね 」
     「 あなたの愛を 」
     「 あなたじゃなきゃ 」
     「 青空 」
     「 好きだから 」
     「 心の中 」
     「 嫌いになりたい 」
     「 会いに行くよ 」
     「 無題 」
     「 ジレンマ 」

    ☆☆家族☆☆
     「 11年目のラブレター 」
     「 子供の瞳 」
     「 かわいい恋人へ 」

    ☆☆その他☆☆
     「 泣かないで 」
     「 不思議な友達 」
     「 幸せだね 」

    大事なお友達
    ご紹介
    hirariの木
    検索ぷらす