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さがしもの 弘人と菜緒 ≪ 10話 ≫
11月末 店舗ではクリスマス商戦も本格化して来たこの時期、少し早めの忘年会が企画課でも行われることになった。
企画課が飲み会を開催する時はいつも、弘人の歓迎会が行われたあのレストランらしい。

会社から企画課の数人と一緒に店に向かう弘人。

その中にも香川の姿もある。

今までの彼女は男性社員に対して特別な意味がなくても平気で腕を組んだりするタイプで、内心はドキドキしながら何の躊躇いもないように「神崎さ~ん」と言って弘人の腕に自分の腕を絡ませた。

弘人はちょっとビックリしながらも他の男性社員にもやっているのを見た事があり、さほど気にも留めずそのまま店に向かった。

弘人が入社して5ヶ月。彼はもう企画課に馴染んでいた。

誰にでも分け隔てなく接する彼の態度はみんなにも好かれ、仕事も真面目で頼まれたことを嫌とは言わずしっかりとこなし、回り対して良く気が利くところは小さいながらも工場を切り盛りしていたお陰なのだろう。

当の本人はと云うと、とにかく仕事に慣れることに精一杯でただがむしゃらに働いた、そんな気持ちしかなかった。

そして香川はと云うと、本気なのを悟られない程度に弘人と着かず離れずの距離を守っていた。

相変わらず他の男性社員とも遊んでいたし・・・。

3階の小会議室で弘人と逢っていた女性が誰なのかは未だに分からず気にもなっていたが、今日は少し勇気を持って彼にアプローチすることを決めていた。

みんなで盛り上がる中トイレに立った弘人を追いかける香川。

「神崎さん、この後2次会行くんですか?」

「行くつもりだけど、何?」

「あの・・・あたしと二人で飲みに行きませんか?」

「どう云うこと?」

「どう云うって・・・」

「俺、彼女以外の女性と二人で飲みに行ったりしないから。
彼女が誤解するようなことしたくないんだ」

「ホントに彼女が大事なんですね」

「うん。大事だよ」

「会社の小会議室で逢ってた人ですよね? 江ノ島で逢った彼女って・・・」

香川の言葉に弘人は驚いた。

「何で知ってるの?」

「たまたま小会議室から出てくるの見たんです。あの人誰ですか?
何で会社にいたんですか?教えてください」

参ったなぁ。見られてたなんて・・・弘人は苦笑いをしながら頭を掻いた。

「ちゃんと説明してくれないと、他の人に言っちゃいますよ」

答えを迫る香川の言葉に、本当のことを話す覚悟を決める弘人。

「彼女は社長の娘なんだ。もう付き合って3年ぐらいになる。
俺がこの会社に就職したのは彼女と結婚する為なんだ。
みんなにはまだ内緒だけど・・・」

「そうなんですか・・・な~んだ残念!」わざと軽い口調で答え香川。

「あっそれと、誰にでも腕組んだりするの止めた方がいいよ。
男はバカだから、それだけで勘違いするヤツもいるから」

弘人が諭すように告げると「すみませ~ん」香川は少し悲しそうな笑みを見せ走っていってしまった。

初めから相手にされてなかったんだ・・・

初めて知った胸の痛み。今まで感じたことのない切なさ。

その事を気付かれないために香川はいつもより明るくはしゃいでみせたが、弘人は何となく彼女の気持ちに気付いてしまった。

でも中途半端な優しさが余計にその人を傷つけることを知っている弘人は、決して彼女に特別な優しさを向けたりはしなかった。

会が盛り上がってきた午後9時前、弘人の携帯電話がなり彼は電話に出ながら席を離れた。

「菜緒 どうした?」

「・・・・・・・・」

「菜緒?」

「電話してごめんね。今日忘年会だって知ってたんだけど・・・」

「別にいいよ。それよりどうした元気ないけど?」

「・・・あのね、弘人に聞きたいことあって」

「うん 何?」優しく問いかける弘人。

「今日、お父さんに用事あって学校が終わった後会社に行ったの。
そしたら弘人が会社の人たちと出てきて・・・。
あの人、江ノ島で逢った人だよね。弘人と腕組んでたの・・・」

レストランに課のみんなで行く途中の様子を菜緒は偶然見てしまっていた。

「アレは気にするような事じゃないよ。
彼女は誰にでも、あぁやって腕を組んだりするんだよ。
だから俺も気にしてなかった。ごめんな」

「でも彼女、弘人が会社でモテるって言ってたよね?」

「ただ面白がって言っただけだろ。電話で話しても仕方ないから、帰りに菜緒の部屋に寄るよ。いい?」

「・・・・・・うん。分かった」

元気のない声で返事をして菜緒は電話を切った。

彼女の沈んだ声が気になり、弘人が2次会を早めに切り上げて菜緒の部屋に向かうと、玄関のドアが開くと彼女は何も言わず彼にそっと抱きついた。

「ごめん。そんな不安になった?」

優しく問いかけても返事はなく、彼の背中に回した手にギュッと力を入れる菜緒。

弘人は部屋に入り、彼女に優しく語り掛けるように話始める。

特別な意味はなく彼女が腕を組んできたこと。

自分がそれを全然気にしていなかったこと。

そして菜緒が心配するような事は何もないことを・・・。

「ねぇ菜緒? 俺がどんなに菜緒の事好きか分かってる?
他の女性なんか興味ないよ。
菜緒が不安になるって事は、俺の気持ち届いてないのかな?」

弘人はそう言って菜緒の頬に触れた。

「そうじゃないけど・・・だってあんなの見たら誰だって不安になるよ」

少し唇を尖らせて呟く彼女の顎を上に向けて、小さくチュッと音を立ててキスをすると菜緒は少し笑みを漏らせて彼の背中に腕を回した。




誰かを傷つけても、他の何かを捨ててでも、手に入れたい幸せがある。

もう二度と菜緒の手を離さない為に、今の自分に出来ること。

今はただ真っ直ぐに前だけを向いていたい。

「さがしもの」を見つけるために。



つづく・・・

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  • 48yuki
  • 弘人 大大大好き!!
    こんばんわ hirariちゃん!

    弘人、いいなあー!
    なんか、すごくやさしい気持ちになれました。ありがとう!!
    (香川女史、もう何もないよね??)

    Mステで・・・かわいい弘人に逢えました。23才の弘人かな?
  • ココ
  • はじめまして♪
    はじめまして
    なるちゃんのとこから遊びにきました♪
    北関東在住の2児の母
    淳&仁(&亀)が好きなココといいます。
    hirariさんの小説ってどんなか読んでみたくて・・
    ほんとに小説だったのでビックリしました!!
    素晴らしいわぁ~♪
    私もひと恋の弘人に夢中になりました
    弘人と奈緒のその後が読めるなんて
    すごくうれしいです♪
    これからさかのぼって全部読んでみますねv-22

    私の父親は広島県呉市出身で
    幼少の頃は毎年広島に行ってましたi-179
    なんだか勝手に親近感を持ってしまいました♪♪

    突然失礼しました
    また遊びに来ますね♪

  • ココさんへ
  • はじめまして!
    お名前はなるちゃんところで拝見してました
    遊びに来てくれてありがとう(^^♪

    なるちゃんの所でのあたしの発言で
    おバカっぷりもエロもバレてますね(笑)
    そんな奴がこんな小説書いてます^_^;
    楽しんで読んでもらえるといいなぁ

    ちなみに、あたしの実家は呉市で~す
    何かのご縁かしら?
    また遊びに来てくださいね
  • runa
  • やさしい弘人いいなぁ・・・
    この通りきっと菜緒は純ですよね・・・
    伏線はあるにしろ、腕組んでるだけで、ここまで寂しがられたら、
    壊れやすくて守りたくなりますよね。
    本気で好きな人だからこそですもんね。
    私も気を付けないと、知らないうちに誰かを傷つけちゃう事もありますね。きっと。
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    ホントに読めないんです。ごめんなさい。

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    ごめんなさい


    ひらり
    プロフィール

       hirari

    Author:   hirari
    中1の男の子、小3の女の子の母です。

    亀ちゃんが好きすぎて息子に呆れられ、旦那に「うざい」と言われたちょっとアホな30代です。

    仁亀萌えしておりまして、腐った発言多々あります(笑)。

    今後もKAT-TUNと仁、両方を応援していきますのでよろしく!



    ひと恋の弘人で亀堕しました。

    めっちゃ長い「ひと恋」感想、小説「さがしもの ~弘人と菜緒~」など書いてますので、良かったら読んでやってくだパイ。


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    魂での亀ソロを見て頭の中に浮かんで来たストーリーを小説にしてみました。

    切なくて甘いお話です。

    良かったら読んでみてください。


    -- E N D --
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    オリジナル小説
    趣味で始めた小説
    まだまだ下手くそですが、少しづつ書き続けていくので良かったら読んでください。

    「さがしもの 弘人と菜緒」
    ≪ 全25話+特別編 ≫

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